リープヘル、MAN、ダイムラー・トラック、水素で描く「未来の建設現場」 低排出・長時間稼働を実証

リープヘル(Liebherr):2026年1月15日

建設機械大手のリープヘル、商用車メーカーのMAN、ダイムラー・トラック(Daimler Truck)は、水素エンジンを搭載した建設機械・商用車による共同実証を実施し、低排出で持続可能な建設現場の実現がすでに可能であることを示した。欧州メーカーが連携し、水素を活用した実運用を提示した点が注目される。

実証はドイツ・ミュンヘンの砂利プラントで行われ、リープヘルの大型ホイールローダーが、MANおよびダイムラー・トラックのトラックに積み込み作業を実施。一見すると通常の作業だが、3台すべてが水素エンジン駆動で、CO₂排出を大幅に抑えながら稼働する点が大きな特徴だ。将来の建設現場の姿を具体的に示す取り組みとして、低排出型建設現場が「今すでに実現可能」であることを証明した。

今回の共同実証を主導したのは、ドイツ・カールスルーエに拠点を置く産業横断型の関心団体「ハイドロジェン・エンジン・アライアンス(Hydrogen Engine Alliance)」。高いエネルギー需要が求められる大型・重負荷用途において、水素が低排出モビリティを実現する重要なエネルギー源であることを示した。

実証では、リープヘルの大型ホイールローダー「L 566 H」が、量産対応のMAN製水素トラック「MAN hTGX」、およびダイムラー・トラックのメルセデス・ベンツ・アロクス(Mercedes-Benz Arocs)をベースとした開発車両とともに稼働。いずれも土工・資材搬送といった高負荷作業を、ディーゼル車と同等の信頼性で遂行し、水素駆動が実用面で劣らないことを示した。

リープヘルのL 566 Hは、同社初の水素エンジン搭載大型ホイールローダーの試作機。リープヘル・ヴェルク・ビショフスホーフェン(Liebherr-Werk Bischofshofen GmbH)で先行開発と駆動技術部門を統括するハンス・クナップ氏(Hans Knapp)は、「ディーゼル機と全く同じ使い方ができ、特別な運用計画は不要。1シフト連続稼働後、10~15分の短時間補給で再稼働できる」と説明する。
同機は2024年夏にオーストリア・ビショフスホーフェンで、社内開発の水素充填設備とともに初公開され、世界最大級の建設機械展「バウマ2025(Bauma 2025)」でも披露された。現在は複数の顧客環境で試験運用が進められている。

リープヘルは用途や負荷特性に応じた技術中立の開発方針を掲げる。その中で水素は、堅牢な構成部品、高いエネルギー貯蔵性、長時間稼働への適性から、重負荷用途において有力な選択肢と位置付けられている。グリーン水素を使用すれば、CO₂排出をほぼゼロに抑えつつ、窒素酸化物(NOx)も極めて低水準に抑制でき、高い総合効率を実現できるという。

一方、商用車分野ではすでに量産段階に入っている。MANは電動トラック「MAN eTGX」に続くゼロエミッション車として、水素エンジン搭載の「MAN hTGX」を小規模量産で受注開始。MANトラック&バス(MAN Truck & Bus SE)で車両・外部エンジン技術を担当するピーター・アルブレヒト氏(Peter Albrecht)は、「走行フィーリングはディーゼルと同等で、運転支援システムや自動変速機能も同様に備える」と語る。
ダイムラー・トラック(Daimler Truck AG)の水素エンジン開発責任者ミルコ・コニッツ氏(Mirco Conitz)も、「メルセデス・ベンツ・アロクスをベースとした開発車両は、ディーゼル車より静粛性にも優れる」と水素エンジンの実用性を強調した。

欧州メーカー各社は今回の実証を通じ、低排出建設現場は将来像ではなく、すでに実現段階にあることを明確にした。一方で、水素の本格普及には、輸送・供給インフラの整備と競争力のある水素価格の実現が不可欠と指摘。アジアで進む取り組みを念頭に、欧州でも包括的な水素ネットワーク構築が求められている。

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