・田中重信氏、好奇心とコミュニティで描くデジタルの未来
ヤンマー・コンパクト・イクイップメント(ヤンマーCE、Yanmar Compact Equipment:ヤンマー建機)は1月14日、同社のデジタルトランスフォーメーション(DX)を担う田中重信デジタルトランスフォーメーション&ITインフラストラクチャー責任者(Head of Digital Transformation and IT Infrastructure)へのインタビュー記事を公開し、同社のデジタル戦略と人材・文化づくりの考え方を明らかにした。
■35年の経験を次の変革へ
田中氏は、日本、米国、英国でのエンジニアリング、製造、ソフトウエア、事業企画など35年に及ぶ国際的なキャリアを経て、2020年にヤンマーCEに参画した。
「60歳を前に、新しい環境でこれまでの経験を生かしたいと考えた」と語り、異なる価値観をつなぐ役割を担ってきた自身の経験が、現在のDX推進に生きているとする。
■データ活用で業務を刷新
入社当初は品質企画グループに所属。顧客データの増加に対し、表計算ソフトによる手作業が中心だった業務に対し、国産データベース「ドクターサム(Dr. Sum)」やBIツール「モーションボード(MotionBoard)」を導入。
データを一元化したダッシュボードにより、数日かかっていた資料作成を数分に短縮し、日本・欧州・米国の品質保証部門がリアルタイムで連携できる体制を構築した。
こうした成果を背景に、2022年にはデジタルトランスフォーメーション部門が新設され、田中氏が責任者に就任した。
■成長を見据えた戦略
同社経営陣の一人であるロペス氏(Lopez)は、ヤンマーCEの戦略について「EMEA(欧州・中東・アフリカ)地域での大幅な成長を目指す」と説明。生産資源の最適化や製品ラインアップの進化を通じ、品質・信頼性・顧客体験で新たな基準を打ち立てる方針を示した。
■技術革新の軸は安全・電動化・データ
次世代のコンパクト機械における技術革新の軸として、安全性、コネクティビティ、サステナビリティを挙げる。
電動化、テレマティクス、AI(人工知能)は中核技術と位置付け、すでに3機種のフル電動製品を展開。今後は新たなテレマティクス基盤により、稼働率や生産性の向上を図る。
■草の根DXで人材を育成
田中氏が重視するのは「草の根DX」。現場主導で学び合うワーキンググループを立ち上げ、現在では200人超の社員がデジタルコミュニティに参加している。
また社外では、ネスト九州・沖縄(nest Kyushu/Okinawa)や製造業データ活用ワーキンググループを主導。ウイングアーク1st(WingArc1st)からは「データドリブン・マイスター(Data Driven Meister)」にも認定された。
■生成AIは意思決定を支援
生成AIについては「自動化そのものが目的ではない」と強調。ヤンマーグループのフィードバックループ(データ収集→意思決定→実行→改善)に組み込み、判断の質とスピードを高めるツールと位置付ける。
人事部門では自然言語検索による規程照会を試行中で、バックオフィス業務でも請求書照合の自動化などが進んでいる。
■変化を選び続ける組織へ
「技術は進化するが、組織を支えるのは人」と田中氏は語る。世代や組織を超えた交流を続けながら、次世代のデジタル人材育成にも注力する考えだ。
「組織は生き物。時間とともに変わる」。変化を選び続ける姿勢こそが、ヤンマーCEのデジタル未来を形づくるとしている。
■会社概要
ヤンマー・コンパクト・イクイップメント(ヤンマーCE、Yanmar Compact Equipment:ヤンマー建機)は、建設・土木分野向けを中心に、ミニ・ミディ油圧ショベル、ホイールローダー、クローラローダーなどの設計・製造・販売を行うグローバルメーカー。アジア、欧州、北米に生産拠点を持ち、世界規模のディーラーネットワークを展開する。ゼロテールスイング油圧ショベルの普及などで知られ、スローガンは「Building with you」。
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