米キャタピラー、エヌビディアと協業拡大、フィジカルAIとロボティクスで重工業を革新

キャタピラー(Caterpillar):2026年1月7日

キャタピラーは1月7日、半導体大手のエヌビディア(NVIDIA)と次世代のAI活用ソリューションおよび製造システムの開発に向け、協業を拡大すると発表した。建設・鉱山機械、製造現場、サプライチェーンに至るまで、AIを活用した顧客向けソリューションを展開し、重工業分野における業務の在り方を大きく変革する。

キャタピラーのジョー・クリード最高経営責任者(CEO、Joe Creed)は、「AIはデータの領域を超え、建設現場や工場、オフィスといった物理的な世界を再構築しつつある。キャタピラーは、機械と事業のあらゆる側面に先進技術を組み込むことで、顧客の最も困難な課題解決に取り組んでいる。エヌビディアとの協業は、その進展をかつてない速度で加速させる」と述べた。

一方、エヌビディアの創業者兼CEOであるジェンスン・フアン氏(Jensen Huang)は、「1世紀にわたり、キャタピラーは世界を形作る産業機械を生み出してきた。AIの時代において、両社は自律施工フリートから次世代産業革命を支えるAIデータセンターまで、幅広い領域で連携する」とコメントした。

■AI世代に対応した機械の高度化

キャタピラーは、AI時代を見据えた機械・設備の高度化に投資を進める。エヌビディアの「ジェットソン・ソー(Jetson Thor)」プラットフォームを採用し、建設機械、鉱山機械、発電設備などでリアルタイムAI推論を実現。次世代の自律化や高度なキャビン内体験に向けた基盤を構築する。

■主な取り組みは以下の通り。

・キャビン内AI機能
 オペレーター向けに、リアルタイムの作業支援、効率向上の助言、安全アラートなどを提供するインテリジェントアシスタントを搭載。

・大規模自律化への対応
 AIによる推奨機能を備えた建設・鉱山機械が、膨大なデータを瞬時に処理し、複雑で変化の激しい現場環境に対応。

・機械知能の高度化
 AI、機械学習、コンピュータビジョン、エッジコンピューティングを活用し、センサーデータをリアルタイムで処理。現場全体を「デジタル神経系」として機能させる。

■「キャットAIアシスタント(Cat AI Assistant」を初披露

キャタピラーはCES 2026において、「キャットAIアシスタント(Cat AI Assistant)」を初公開した。これはキャタピラーのデジタル製品や車載システムに組み込まれたプロアクティブな支援機能で、顧客の迅速かつ的確な意思決定を支援する。

同アシスタントは、エヌビディアの音声AI技術「リバ(Riva)」のオープンスピーチモデルを活用し、高精度かつ自然な音声で、機械、部品、保守、運用に関する質問への回答や個別提案を行う。音声操作により設定変更やトラブル対応を支援し、関連するアプリやウェブサービスへも連携する。

情報基盤には、キャタピラーの統合データプラットフォーム「ヘリオス(Helios)」を活用し、信頼性の高いデータを提供する。

■製造・サプライチェーンの変革

キャタピラーは、エヌビディアの「AIファクトリー(AI Factory)」を活用し、製造およびサプライチェーンの高度化を進める。AIインフラとライブラリを用いて、需要予測や生産計画などの重要プロセスを自動化・高速化する。

さらに、エヌビディアの「オムニバース(Omniverse)」ライブラリと「オープンUSD(OpenUSD)」を活用し、工場の高精度デジタルツインを構築。実際の建設前に、レイアウトや生産プロセスの設計・シミュレーション・最適化を可能にする。

■産業イノベーションの新たな標準へ

両社は、機械、現場、工場、サプライチェーンを横断するAIエコシステムを構築し、「つくる・運ぶ・動かす」産業の在り方を変革することで、次世代の産業イノベーションの新たな標準を打ち立てる考えだ。

■会社概要
キャタピラー(Caterpillar)は、2024年の売上高が648億ドル。建設・鉱山機械、オフハイウェイ用ディーゼル・天然ガスエンジン、産業用ガスタービン、ディーゼル電気機関車の世界最大級メーカー。建設機械、資源産業、エネルギー・電力の3事業を中核に、金融サービスも展開している。

ニュースリリース