・AI人材ニーズ高まる、7割が人員維持見通し
ドイツ機械工業連盟(VDMA):2026年1月6日
ドイツの機械・プラントエンジニアリング業界では、景気減速や不透明な事業環境が続く中でも、エンジニア人材への需要が底堅く推移している。ドイツ機械工業連盟(VDMA:Verband Deutscher Maschinen- und Anlagenbau)が実施した最新のエンジニア調査によると、回答企業の約7割が「エンジニア数は現状維持」と見込み、約2割は「増加」を予想している。一方で、AI(人工知能)関連スキルの重要性が一段と高まっている実態も浮き彫りとなった。
同調査は、機械・装置産業の企業400社超を対象に実施したもの。従業員500人以下の企業では、77%がエンジニア数を維持、17%が増員を見込んでいる。一方、大企業では見通しがやや慎重で、約4分の1が減少を予想し、56%が横ばいと回答した。
■人材不足は依然継続、研究開発分野で顕著
労働市場では引き続き人材不足が続いており、54%の企業が「軽度の不足」、17%が「深刻な不足」を感じている。特に研究開発(R&D)やIT・コンピューターサイエンス分野での不足感が強く、中小企業では設計分野の人材確保が課題となっている。
VDMA副事務局長のハルトムート・ラウエン(Hartmut Rauen)氏は、「イノベーション拠点としての競争圧力が多方面で高まっている。技術革新を支える基盤が揺らぎかねない」と警鐘を鳴らす。
実際、大企業を中心に、研究開発投資を国内よりも海外で増やす動きが強まっており、エンジニア動向は研究開発戦略にも影響を及ぼしている。
■「立地条件の改善が不可欠」
機械・装置製造業では、エンジニアの半数以上が研究・開発・設計に従事しており、企業のイノベーション中枢を担っている。ラウエン氏は「エンジニアは真空の中で革新を生み出すわけではない。雇用と競争力を持続的に確保するには、事業立地の条件改善を急ぐ必要がある」と強調する。
エンジニア削減を検討する企業の多くは、受注減少や厳しい経済環境を理由に挙げており、約3分の2は人件費上昇も要因と回答した。
■若手エンジニアの将来需要は堅調
今後10年間で、機械・プラントエンジニアリング分野のエンジニアの約20%が退職期を迎える見通しだ。加えて、特に機械工学やプロセス工学分野での卒業生減少が、採用面での課題となっている。
それでもラウエン氏は、「現在の不確実性や景気低迷にもかかわらず、将来的なエンジニア需要は維持される」と指摘。「機械・プラント産業は、ドイツ最大の産業雇用主であり、若手エンジニアにとって依然として魅力的な将来産業だ。再生可能エネルギーやヒューマノイドロボット、持続可能な食料供給といった次世代ソリューションを生み出している」と述べた。
■AIスキルの重要性が急上昇、大学教育に課題
調査では、80%超の企業がAIを「最重要の基盤技術の一つ」と位置付けている。一方で、大学教育に対する評価は厳しく、49%が「AIに関する準備が不十分」と回答。「十分に準備されている」と評価した企業は23%にとどまった。
企業側が求めるスキルとしては、AIの応用スキルを「重要」または「非常に重要」とする回答が計86%に達し、大企業ほどその傾向が強い。データ解析・モデリング、開発・統合スキルについても同様の結果となった。
ラウエン氏は、「工学教育は技術進展に歩調を合わせなければならない。そうでなければ、競争力の鍵となる技術分野で後れを取る」と指摘し、「将来を見据えた新たな資格・能力プロファイルの構築が急務だ」と訴える。
AIの導入により、75%の企業が「エンジニア需要は維持または増加する」と見ており、「AI活用は若手エンジニアにとっても大きな機会となる」と締めくくった。
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