大同特殊鋼、吹田市のごみ処理施設基幹設備機能回復工事を受注

・アーク式灰溶融技術で資源循環型社会の実現に貢献

大同特殊鋼は11月27日、タクマ・大同特殊鋼特定建設工事共同企業体の構成企業として、大阪府吹田市から「吹田市資源循環エネルギーセンター」の基幹的設備機能回復工事を受注したと発表した。契約金額は税抜135.6億円、工期は2025年10月から2031年3月までの5年6か月間に及ぶ大型プロジェクトとなる。

■延命化で最大14年の稼働継続を実現

本工事は、稼働から15年以上が経過し老朽化が進行している同施設について、ライフサイクルコスト低減などの観点から、施設の更新ではなく延命化を選択したもの。施設の稼働を継続しながら、通常の定期点検では実施困難な作業を順次実施することで、工事終了から起算して14年の延命化を図る計画。

対象施設は、1日あたり480トン(240トン×2炉)の処理能力を持つストーカ式のごみ焼却施設で、燃焼設備や燃焼ガス冷却設備などの主要設備の更新が実施される。

■製鋼技術を活かしたアーク式灰溶融炉

大同特殊鋼は本工事において、同社が保有する製鋼用アーク炉技術をベースに開発したアーク式灰溶融設備(処理能力49トン/日)の工事を担当・施工する。

アーク式灰溶融炉は、3本の黒鉛電極によって3000~5000℃の高温アークを発生させ、都市ごみ焼却灰および飛灰を溶融処理する設備だ。この技術により、焼却灰は従来の2分の1から3分の1に減容化され、最終処分場への負荷を大幅に軽減できる。

■資源循環を促進する技術特性

本技術の最大の特長は、環境負荷低減と資源循環を同時に実現できる点にある。溶融処理によって生成される細砂状の溶融スラグは、路盤材やタイルブロックなどの建築資材として再利用が可能だ。また、焼却灰に含まれる鉄分や金、銀、銅などの金属分は溶融メタルとして回収され、建築資材への再利用や貴金属類の回収にも活用される。

さらに、ごみ発電によって得られた電力を溶融炉の熱源として利用することで、エネルギーの有効活用も実現。高温アークによる急速かつ均一な溶融処理により、高品質な溶融スラグが安定的に得られることも大きな利点となっている。

■循環型社会構築への貢献

本プロジェクトは、ごみ処理施設の長寿命化とライフサイクルコスト削減を実現するとともに、最終処分場の延命化、建築資材の再利用促進、貴金属回収による資源循環など、多面的な環境負荷低減効果が期待される。

大同特殊鋼の灰溶融技術は、製鋼分野で培った高温処理技術を環境分野に応用した好例として、今後の資源循環型社会の構築に向けた重要な技術となることが見込まれている。

■プロジェクト概要

・発注者:大阪府吹田市
・受注者:タクマ・大同特殊鋼特定建設工事共同企業体
・工事場所:大阪府吹田市千里万博公園4番1号
・契約金額:135.6億円(税抜)
・工期:2025年10月~2031年3月(5年6か月)
・延命化期間:工事終了から14年間

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