・大型業務用空調の需要増に対応、PDS方式採用で品質・省エネ性を追求
ダイキン工業は11月27日、11月26日にサウジアラビア王国のジェッダ近郊に空調機器の新工場を着工したと発表した。同国では2022年に首都リヤド近郊に続く2拠点目となる。新工場では中東地域向けに大型業務用空調機器のチラーを生産し、急拡大するアプライド市場に対応する。
中東各国では都市開発やデータセンター建設が急増しており、高度な冷却ニーズが高まっている。ダイキンは市場に近い場所で生産・販売する「市場最寄化戦略」を強化し、地域での競争力向上を図る。2014年にアラブ首長国連邦工場、2022年にサウジアラビア・リヤド工場を設立しており、今回の新工場は中東戦略における重要な拠点と位置づけている。
新工場では、グローバルで実績を持つダイキン独自の生産方式「PDS」(Production of Daikin System)を全面採用する。PDSはリーン生産方式、厳格な品質管理、継続的改善を組み合わせた手法で、高い信頼性と省エネ性を実現する。また、製品性能評価のための先進的な試験ラボや顧客立会試験用設備を整備し、品質保証体制を強化する。
生産面では、まず大容量空冷チラーから製造を開始し、市場ニーズに応じて製品ラインアップを順次拡大する計画だ。先進的なアプライドシステムや産業用冷却分野で実績を持つダイキンアプライドヨーロッパの知見を活用し、中東特有の厳しい気候条件に適した高信頼性・高耐久性の製品を提供する。
サウジアラビアでは、都市開発事業NEOMや紅海開発など大型国家プロジェクトが進行中で、省エネ型インフラへの需要が急拡大している。新工場の設立は、同国政府が推進する国家戦略Vision 2030における持続可能性、人材育成、イノベーション、産業成長への貢献を強化するものとなる。ダイキンは10年以上にわたり構築してきた現地での事業基盤とパートナーシップをさらに発展させ、中東全域での事業展開を加速する方針。
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