リープヘル、繊維ロープ式クレーンの導入が世界で加速、稼働300台超へ

・補修技術向上でコスト低減を実現、レンタル業界で「繊維製」への一本化進む

リープヘル(Liebherr) :2025年11月20日

建設機械大手のリープヘルは11月20日、同社が展開する高強度繊維ロープを採用したクレーンの稼働台数が、世界中で300台を突破したと発表した。ロープの補修や短縮に関する新技術を確立し、運用コストの低減と持続可能性を大幅に向上させたことが奏功した。レンタル事業者など販売パートナーの間では、保有フリートを全面的に繊維ロープ式へ切り替える動きが加速している。

同社の繊維ロープ技術(Fibre technology)は、従来の鋼製ロープに代わる次世代の吊り上げソリューションとして市場浸透が進んでいる。今回発表された新ソリューションでは、現場での簡易的な補修やロープ短縮を可能にすることで、最大85%という高い補修率を実現した。損傷時にロープ全体を交換する必要がなくなり、既存ロープの継続使用が可能となったことで、耐用年数は最大14年まで伸長している。

■市場からの反響と主な導入メリットは以下の通り。

・現場でのダウンタイムを最小化
新技術により、現場でロープの短縮や補修が可能となったことで、ダウンタイムのリスクは従来の約2%まで低減された。独ボイトルハウザー・グループ(The Beutlhauser Group)のベンジャミン・グリルマイヤー建設部長は、「ほとんどの修理が2時間以内で完了するため、現場でのダウンタイムが実質的に解消された」と指摘。「耐用年数の延長により、ユニットあたりの機械コストも低減している」として、新規導入分だけでなく、既存の鋼製ロープ機についても繊維製への換装を進める方針を示した。

・運用コストとメンテナンス性の改善

経済性の面では、交換用ロープの価格が26%低減されたほか、延長保証「Fibre Care」の費用も44%圧縮された。また、繊維ロープは給脂が不要でメンテナンスの手間が少ない上、鋼製に比べて軽量で取り扱いが容易である点も評価されている。

・レンタル業界での採用拡大
ノルウェーの建機レンタル大手Utleiecompagniet ASなどは、今後の導入機材をすべて繊維ロープ式に統一する決定を下した。アイルランドのジョン・ポール・コンストラクション(John Paul Construction)も、レンタルでの運用実績を経て自社フリートへの導入に踏み切っている。

リープヘルのファイバーテクノロジー担当プロダクトマネージャー、ヨッヘン・フーバー(Jochen Huber)氏は「現場からのフィードバックを詳細に分析し、現場での直接対応や再生ロープの活用など、顧客に合わせたソリューションを拡充した」と述べている。鋼製ロープと繊維ロープの相互換装が可能な設計により、投資リスクを抑えつつ新技術へ移行できる点も、普及を後押しする要因となっている。

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