新東工業、独・セラミック3Dプリンティング事業「ボッシュ・アドバンスト・セラミックス」を買収

・欧州に新会社を設立し、セラミック積層造形のグローバル展開を加速

新東工業は11月19日、独・ロバート・ボッシュ(Robert Bosch GmbH)傘下のボッシュ・ビジネス・イノベーションズ(Bosch Business Innovations GmbH)が展開するテクニカルセラミック部品の積層造形受託製造事業「ボッシュ・アドバンスト・セラミックス(Bosch Advanced Ceramics、以下 BAC)」を買収したと発表した。併せて、同事業を継承する新会社「シントー・アドバンスト・セラミックス・ヨーロッパ(Sinto Advanced Ceramics Europe)」をドイツ国内に設立し、2026年1月より事業を開始する。

■ セラミック3D技術の取得で欧米市場の展開を強化

BACは2016年に創設された技術系スタートアップで、ボッシュがスパークプラグ製造等で培ってきたセラミック技術を基盤に、高精度なセラミック部品の3Dプリンティングを展開。プロトタイプから量産まで広く対応し、欧米の半導体製造装置メーカーを中心とした多様な顧客に部品を供給してきた。近年は医療分野にも進出し、同社の提案力と技術力は業界内でも評価されている。

新東工業は“素材に形を与え、いのちを吹き込む”を事業領域に掲げ、「形づくり」「素材づくり」「表面づくり」を核に製造技術の深化を進めている。中でも積層造形技術は、従来工法では困難だった複雑形状を可能にする有望技術と位置づけており、特にセラミック3Dプリンティングは半導体・電子部品、航空・宇宙、医療、自動車(EV)などの成長市場において需要拡大が見込まれる。

■ 欧州・日本・米国の“三極体制”を構築

新東工業は2018年にフランスのセラミック積層造形機メーカー、スリー・ディー・セラム(3D Ceram)をグループ化しており、グローバルでセラミック3D技術の確立を推進。グループ会社の新東Vセラックス(Sinto V-Cerax)では、大型構造セラミックに加え、積層造形を活用した中小物部品や機能性製品へ製造範囲を拡大している。

今回のBAC買収を機に、同社は日本・欧州・米国に中核製造拠点を置く三極体制を構築し、グローバルで統一したブランド・技術連携のもと、セラミック製品の開発・生産体制を強化する方針だ。

<買収概要>
• 買収対象: ボッシュ・アドバンスト・セラミックス(Bosch Advanced Ceramics)
• 事業内容: テクニカルセラミック部品の3Dプリンティングによる受託製造
• 新会社名: シントー・アドバンスト・セラミックス・ヨーロッパ(Sinto Advanced Ceramics Europe)
• 所在地: ドイツ(Immenstadt im Allgäu)
• 開始時期: 2026年1月
• 買収目的: セラミック3Dプリンティング技術の取得、欧州拠点の強化、グローバル展開加速
• 関連領域: 半導体製造装置、電子部品、航空・宇宙、医療、自動車(EV)

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