日立建機はこのほど、情報誌「TIERRA+(ティエラプラス)」Vol.147(2025年11月号)を発刊した。
今号の特集は、「協創でつなぐカーボンニュートラルな未来」。日立建機が描く電動建機の未来像は、単なる技術革新の紹介にとどまらない。CO₂排出量削減という明確な目標を掲げ、バッテリー駆動式ショベルの市場投入を皮切りに、普及拡大へと舵を切る。
その推進母体となる「ゼロエミッションビジネスモデル構築プロジェクト」は、営業からDXまで多様な専門性を結集し、社内外の連携を前提に進められている。ここで浮かび上がるのは、電動化が技術だけでなく社会的インフラや顧客体験に深く結びついているという現実。
課題は二つ。ひとつは使い勝手、特に充電インフラの整備と稼働時間のマネジメント。もうひとつは経済合理性であり、高価なバッテリーによる価格差をどう埋めるかが問われる。補助金制度の活用やライフサイクル全体でのコスト低減は、普及の鍵を握る。2024年に開設された「ZERO EMISSION EV-LAB」は、社外パートナーとの協創を促す拠点として機能し、実機検証を通じて新たなアイデアを生み出す場となっている。
本稿の魅力は、電動建機を唯一の解とせず、水素や燃料電池など多様な技術を並行して追求する「マルチパスウェイ」の姿勢にある。オープンイノベーションを旗印に、環境目標と経済合理性の両立という難題に挑む姿勢は、企業の持続可能性戦略の典型例として読む者に強い印象を残す。技術記事でありながら、産業構造や顧客体験を含めた広い視野を提示する点で、未来の建設現場を想起させる一篇となっている。
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