・UAE拠点で新設・更新工事、高付加価値製品への参入支援
ロンドン発 — プライメタルズ テクノロジーズは11月17日、中東最大級の鉄鋼メーカーであるEMスチール(アラブ首長国連邦)から、アブダビ拠点における線材仕上圧延ラインの新設およびNo.3圧延ラインの更新工事を受注したと発表した。本プロジェクトは同社の資産強化プログラムの中核をなすもので、タイヤコードやPC ストランドなど高品質製品市場への本格参入を目指す。
■新設No.5ラインで製品ラインナップ拡充
今回の新設ラインは既設のNo.5鉄筋圧延ミルに併設される。5.524ミリメートルの線材コイルおよび816ミリメートルの鉄筋コイルを新たに生産可能とし、製品ポートフォリオを大幅に拡充する。同時に既設ミルの設計見直しも実施し、製品公差の最適化と設備負荷の軽減を図る。
新ラインには、8スタンドeDrive Morgan No-Twistミル、Morgan仕上ミル、Morgan レイングヘッド、Morgan ステルモア制御冷却コンベヤなど、プライメタルズの最新技術が投入される。インライン熱処理装置や垂直パレット・水平C型コイルフックコンベヤシステムも導入され、制御圧延と微細粒鉄筋の生産に対応する。
オートメーションシステムは、レベル1基本制御とレベル2 Process Expertシステムで構成。生産管理プロセスの最適化により、運転コストの削減も実現する。
■既設No.3ラインは冷却設備を刷新
No.3圧延ラインの更新工事では、既存架台を活用しながらMorgan ステルモア制御冷却コンベヤを新規導入する。冷却性能の向上により、高品質PC ストランドの厳格な品質要件への対応が可能となる。
特許取得済みのOptimesh空気分配システムにより、小径製品の引張強度均一性が向上。新型ローラーモジュールとブロワーは既存搬送システムとシームレスに統合され、新駆動装置と完全統合型自動化システムも併せて導入される。
■短期間での立ち上げを実現
両プロジェクトとも、設備の事前組立てにより既設圧延ラインへの影響を最小化。運転停止期間を大幅に短縮し、迅速な試運転を可能にする計画だ。
EMスチールは、本プロジェクトを通じて耐震鉄筋、合金冷間鍛造材、溶接ワイヤなど国際市場向け高付加価値製品への参入を図る。同社はUAE最大の鉄鋼・建材メーカーで、現在70カ国以上に製品を供給している。
プライメタルズ テクノロジーズは三菱重工グループ傘下の鉄鋼プラントエンジニアリング会社。本社を英国ロンドンに置き、世界で約7,000人の従業員を擁する。
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