米マニトワック、中国製モバイルクレーンの不公正輸入で欧州業界が提訴と発表

・欧州メーカー4社が欧州委に緊急調査を要請、戦略インフラを支える基幹製品で競争環境の是正求める

マニトワック(The Manitowoc Company, Inc.):2025年11月13日

欧州のモバイルクレーン業界が、中国からの不公正輸入の急増に対し、欧州委員会へ正式に訴えを起こした。米国メーカーのマニトワックは11月13日、欧州の業界団体であるVDMAマテリアルハンドリング&イントラロジスティクス協会(VDMA Materials Handling and Intralogistics Association)の会員企業が、中国製モバイルクレーンに関する調査を欧州委員会へ要請したと発表した。

■欧州生産者の92%が参加、4社共同で提訴

提訴企業はマニトワック、リープヘル(Liebherr)、ゼネボーゲン(Sennebogen)、タダノ(Tadano)の4社で、EU域内モバイルクレーン産業の約92%を占める主要メーカーが足並みをそろえた。対象となる製品は、自走式車両に搭載され、30トン以上の揚重能力を持つモバイルクレーン。欧州の防衛、エネルギー、重要インフラに不可欠な基幹装備である。

提訴内容は、中国メーカーがEU市場で「不当に低い価格条件」で販売を行い、域内産業に重大な損害をもたらしているというもの。業界は欧州委に対し、緊急のアンチダンピング調査を求めている。

■「公正な競争環境の回復を」

マニトワック社社長兼CEOのアーロン・レーベンスクロフト(Aaron Ravenscroft)氏は次のように述べている。

「当社は公正な競争を支持しています。中国輸出企業のダンピングによって被った実質的な損害を、欧州委員会が是正するよう要請しました。EU域内で公平な競争環境を取り戻すことを求めます」

■マニトワック(The Manitowoc Company, Inc.)について
1902年創業、120年以上の歴史を持つ揚重機メーカーで、世界有数のクレーン専業企業。グローブ(Grove)、マニトワック(Manitowoc)、ポテーン(Potain)をはじめ、複数ブランドで油圧式モバイルクレーン、クローラクレーン、タワークレーンなどを展開している。

■VDMAマテリアルハンドリング&イントラロジスティクス協会について

同協会はモバイルロボット、フォークリフト、クレーン、イントラロジスティクスシステムなどの分野で250社以上が加盟。さらにVDMA全体では3,600社を束ね、EUで約300万人(ドイツで120万人以上)を雇用する欧州最大の機械・プラント産業団体。EUの機械産業売上高は約8,700億ユーロに達し、EU域内で販売される機械の約8割は域内生産に由来する。

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