ユングハインリッヒ(Jungheinrich):2025年11月13日
ハンブルク発、産業機器大手のユングハインリッヒの子会社であるアップリフト・ベンチャーズ(Uplift Ventures)は、設立間もないながら、初のスタートアップ企業としてturnus.ai(ターナス・エーアイ)を市場に投入した。同社が開発したAIソリューションは、産業界で増大するサステナビリティ(持続可能性)やコンプライアンス(法令順守)に関する顧客からの問い合わせ対応を自動化し、処理時間を最大90%削減する革新的な製品として注目を集めている。
■問い合わせ対応の複雑化に対応
近年、規制の強化に伴い、品質管理、サステナビリティ、およびコンプライアンスを担当するチームは、個別の顧客要求に対する回答を手動で作成する作業に、労働時間の多くを費やしている。必要とされる情報は複数の部署、システム、フォーマットに分散しているため、この作業は時間を要し、回答の遅延や一貫性の欠如を引き起こす要因となっていた。
turnus.aiは、AIを活用したテキスト分析と文脈理解により、この一連の作業を合理化・自動化する。同システムは、以下の分野に関する問い合わせ対応を支援する。
・ 製品コンプライアンス(例:REACH、RoHS)
・ サステナビリティおよびサプライチェーン責任(例:LkSG、ESG)
・ ITセキュリティ関連文書(例:NIS2、DORA)
■業務負荷を大幅に軽減、実績を創出
turnus.aiは、正式な市場投入に先立ち、親会社であるユングハインリッヒのサステナビリティチームで数カ月にわたるパイロット運用が行われた。その結果、顧客からの問い合わせに対する処理時間を最大90%短縮し、チームの業務負荷を大幅に軽減する成果を実証した。
ユングハインリッヒのガブリエレ・マウラー(Gabriele Maurer)副社長(企業サステナビリティ、健康・安全担当)は、「turnus.aiの導入により、多数の問い合わせを迅速かつ体系的に処理し、KPIと整合させつつ、一貫して高品質な回答を提供できるようになった。自動化はチームの負荷を軽減し、プロセスの信頼性を著しく向上させる」とコメントしている。
■産業界からの強い関心
市場の関心も強く、すでにWiha GmbH(ヴィーハ社)やSchock GmbH(ショック社)を含む20社以上の産業企業が導入・実装段階に入っている。
<turnus.ai共同創業者兼CEOのトビアス・ザイデル(Tobias Seidel)氏>
「企業は高度に専門的な顧客問い合わせの増加に直面しており、専門的な対応能力の拡充が求められています。我々はAIを通じてこの負担を軽減し、より戦略的な業務に注力できる環境を創出します」
<同 共同創業者兼CPOのフェルディナント・ヘック(Ferdinand Heck)氏>
「当社のソリューションは、企業内の品質およびサステナビリティ関連情報すべてに対し、初の集中管理された透明性の高いデータ基盤を提供するものです」
■セキュリティと拡張性を重視
turnus.aiは、最新のラージ言語モデルの能力と最高水準のセキュリティを両立させている。ドイツ国内のサーバー設置、GDPR(一般データ保護規則)に準拠したデータ処理、および暗号化された通信により、機密性の高い企業データ保護を確実にする。既存のIT環境へのシームレスな統合が可能であり、顧客の要求に応じて柔軟に拡張できる設計となっている。
■ アップリフト・ベンチャーズ(Uplift Ventures)について
アップリフト・ベンチャーズは、ユングハインリッヒの中核事業を超えた新たな事業分野を開拓するため、2024年に設立されたベンチャー部門。グループの強みを活用し、マテリアルハンドリングなどの分野における革新的なスタートアップへの投資および設立を通じて、長期的な成功に貢献するポートフォリオを構築している。
コメントを投稿するにはログインしてください。