日精樹脂工業が11月14日に発表した2026年3月期第2四半期(4〜9月)の連結業績によると、円安の進行による輸入コストの増加および原材料価格の高止まりによる製造原価の上昇から、売上高は225億5百万円(前年同期比1.8%増)となったものの、営業損失は10億5,700万円(前年同期は営業利益1億5,100万円)、経常損失は4億4,900万円(前年同期は経常利益1億9,300万円)、親会社株主に帰属する中間純損失は8億2,400万円(前年同期は親会社株主に帰属する中間純利益6,200万円)となった。
4〜9月期における世界経済は、中東情勢や通商政策をめぐる不確実性が継続しており、エネルギー・原材料価格の高止まりや円安傾向などを背景に、先行き不透明な状況が続いた。わが国経済においては、日米金利差は縮小傾向にあるものの、円安基調は継続しており、これに伴う物価上昇が続いている。こうした環境下、消費動向は慎重に推移している。
射出成形機業界においては、円安の継続による原材料価格の高止まりに加え、世界的な設備投資需要の回復が遅れていることから依然として厳しい経営環境下にある。
製品別売上高については、射出成形機売上高が162億6,100万円(前年同期比2.3%増)、部品売上高は47億8,900万円(同5.3%増)と増加したが、周辺機器売上高は8億円(同19.5%減)、金型等売上高は6億5,300万円(同1.3%減)となった。
■セグメントの状況
①日本:射出成形機の需要はあったものの、受注に至るまで長期化している等の慎重な設備投資姿勢が継続していること等から、売上高(外部売上高)は66億6,100万円(前年同期比9.2%減)、セグメント損失は7億400万円(前年同期はセグメント利益1億9,100万円)となった。
②欧米地域:欧米では、射出成形機需要は堅調であったこと等から、売上高(外部売上高)は96億5,500万円(前年同期比11.6%増)となったが、米国における関税政策の強化から利益が圧迫されたこと等によりセグメント損失は3億5,300万円(前年同期はセグメント損失2億8,500万円)となった。
③アジア地域:中国市場において自動車関連およびIT関連を中心に需要が堅調であったこと等から、売上高(外部売上高)は61億8,800万円(前年同期比1.2%増)となったが、原材料価格の上昇と円安等を要因にセグメント損失は4,700万円(前年同期はセグメント利益2億7,200万円)となった。
■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
2026年3月期の連結業績見通しについては、2025年6月30日発表予想を据え置いた。売上高442億円(前年同期比6.9%減)、営業利益10億円(同126.2%増)、経常利益9億円(同162.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益5億5,000万円(同619.4%増)を予想している。
■TOYOイノベックスとの経営統合を発表
日精樹脂工業は11月14日、TOYOイノベックス株式会社と2026年4月1日(予定)をもって、共同株式移転の方法により両社の完全親会社となる「GMSグループ株式会社」を設立し経営統合を行うことについて合意に達したと発表した。
両社は成形関連機械の専業メーカーとして事業を展開しているが、地政学リスクの高まりに伴う需要の低迷やコストの高騰、アジア系企業の台頭によるグローバルでの競争激化など、厳しい経営環境に対応するため、経営統合により単独では実現できない取り組みが可能になると判断した。
株式移転比率は、日精樹脂工業の普通株式1株に対して共同持株会社の普通株式2株、TOYOイノベックスの普通株式1株に対して共同持株会社の普通株式1.51株をそれぞれ割当交付する。共同持株会社の株式は2026年4月1日に東京証券取引所にテクニカル上場を行う予定で、これに先立ち2026年3月30日に日精樹脂工業は東京証券取引所及び名古屋証券取引所を、TOYOイノベックスは東京証券取引所を上場廃止となる予定。
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