・自社開発の磁気軸受圧縮機採用で油系統レス、保守負荷を大幅低減
三菱重工サーマルシステムズ(東京都千代田区)は11月13日、新開発の磁気軸受ターボ冷凍機「ETI-N」シリーズの国内受注を開始したと発表した。自社開発の磁気軸受圧縮機を採用し、潤滑油系統を不要とすることで迅速な起動とメンテナンス負荷の低減を図った。
■磁気軸受方式で油レス化、迅速起動と保守負荷低減
「ETI-N」シリーズは、磁石の力で回転シャフトを非接触で支持する磁気軸受方式を採用。潤滑油を使用しないため、従来冷凍機で必須だった潤滑油の交換作業が不要となり、摺動部品の摩耗も発生しない。
この結果、油ポンプ起動や油膜形成の待ち時間が不要となり、ターボ冷凍機の迅速な立ち上げにつながる。ビル空調、工場空調、地域冷暖房など、負荷変動が大きい設備での運用効率向上が期待される。
■小・中容量帯150〜700冷凍トン、コンパクト設計で搬入性向上
冷凍能力は150〜700冷凍トンの小・中容量帯をカバー。冷凍機本体にインバータを標準搭載したコンパクト設計を特徴とし、既存設備更新時の搬入性や設置工事負担を軽減する。
エネルギー性能は、定格COPが6.4、IPLVが9.1と高効率を実現した。
■冷媒は「HFO-1233zd(E)」、GWP=1の低環境負荷
冷媒には、地球温暖化係数(GWP)が1で、かつオゾン層破壊係数ゼロのノンフロン系「HFO-1233zd(E)」を採用。環境負荷を抑えつつ高性能を両立する。
同社はこれまで、「ETI-Z」(HFO-1233zd(E)冷媒)、「GART-ZE/ZEI」(HFO-1234ze(E)冷媒)、「JHT-Y/YI」(HFO-1234yf冷媒)など低GWP冷媒採用機種を展開してきており、今回の「ETI-N」投入でラインアップの強化を図る。
■国産トップシェアメーカーとして低環境負荷製品を拡充
三菱重工グループは2040年カーボンニュートラル達成を掲げており、同社は空調・プロセス冷却・地域冷暖房分野のターボ冷凍機で国内トップシェアを持つ。磁気軸受シリーズの拡大を通じ、ユーザーのCO₂削減と運用効率化に貢献する方針。
<用語補足>
• 冷凍トン:1冷凍トン=約3.516kW
• COP(Coefficient of Performance):エネルギー成績係数。値が大きいほど高効率
• IPLV(Integrated Part Load Value):部分負荷を考慮した期間成績係数
• GWP(Global Warming Potential):地球温暖化係数(CO₂=1)
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