加藤製作所が11月13日に発表した2026年3月期第2四半期(中間期、2025年4〜9月期)の連結決算は、売上高が267億5,600万円となり、前年同期比1.0%増とわずかに増収を確保した。一方で、営業損失は16億1,500万円(前年同期は8億4,500万円の黒字)、経常損失は15億2,000万円(前年同期は13億4,000万円の黒字)と大幅な赤字に転落した。親会社株主に帰属する中間純損失は15億7,300万円(前年同期は49億8,800万円の赤字)となった。
国内では、主要部品の供給制約が解消した高価格帯の大型建設用クレーンの生産が本格化し、製品全般の販売価格改善と並行して油圧ショベルの一部製品で弾力的な販売施策を実施。これにより売上高は前年同期比増収となった。一方、海外では中国事業の見直しや米国・欧州市場の需要低迷により販売台数が減少し減収となった。
損益面では、海外売上の減少に加え、在庫調整に伴う工場稼働率の低下が期初想定を上回り、利益を大きく押し下げた。国内では生産効率改善を進め、海外ではイタリア子会社への増資や中国子会社の持分譲渡手続きなど、海外ポートフォリオの健全化を図った。
■ セグメント別業績
セグメント別では、日本の売上高が245億3,400万円(同4.9%増)と増収となったが、油圧ショベル等の一部製品及び補用部品の棚卸資産適正化を推進したことで、セグメント損失は15億900万円(前年同期は8億2,700万円の黒字)となった。欧州は売上高が18億5,400万円(同31.5%減)と需要低迷が継続し、セグメント損失は7,400万円(前年同期は4,500万円の黒字)。その他は中国セグメントの組み入れにより売上高10億3,400万円(同0.2%減)、セグメント損失4,500万円(前年同期は2億3,700万円の赤字)となった。
■ 製品別業績
製品別では、建設用クレーンが181億5,400万円(同7.3%増)、油圧ショベル等が83億2,800万円(同10.0%減)、その他が2億7,300万円(同12.2%減)となった。
■今後の見通し
通期業績予想を下方修正。売上高は570億円(前期比7.7%増)で据え置いたが、営業損益は5億円の赤字(従来予想は17億円の黒字)、経常損益は10億円の赤字(同12億円の黒字)、純利益は2億円(同12億円)へと大幅に引き下げた。
国内外市場で建設機械の大幅な需要回復が見込めないことに加え、資材や人件費のさらなる高騰を想定。今年度は棚卸資産の適正化により、生産調整に伴う製造原価の上昇や補用部品等の長期在庫に対する一過性の評価損計上で損益が悪化する見込み。
ただし、10月28日に完了した中国子会社の持分譲渡による売却益約15億円の計上により、純利益は黒字を維持できる見通し。配当予想は中間・期末とも35円の年間70円で据え置く。
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