アマダが11月13日に発表した2026年3月期第2四半期(中間期、4〜9月)の連結業績によると、売上収益は1,842億8,000万円(前年同期比0.1%減)とほぼ横ばいとなった。国内は685億7,500万円(同0.8%増)と微増したものの、海外は1,157億500万円(同0.7%減)と小幅減収となった。
営業利益は、製造合理化の進展による増益効果はあったものの、減収および販管費の増加に加え、前年同期比の円高の影響により、153億500万円(同33.9%減)と大幅減益。親会社の所有者に帰属する中間利益は103億8,500万円(同31.3%減)となった。
同社グループは2030年に目指す姿として「長期ビジョン2030」を掲げ、2023年5月に2025年度までの3カ年計画「中期経営計画2025」を策定・公表している。中計では、①売上収益4,000億円の必達と収益性の改善、②長期成長戦略への活動開始、③資本政策(株主還元)の実施、④ESG経営・体制強化の4つの基本戦略方針により、継続的な成長と企業価値の向上に取り組んでいる。
当中間期の経営環境は、米国の関税政策の影響が顕在化しつつある中、地政学的リスクの長期化も重なり、世界経済の先行きは依然として不透明な状況が続いている。北米及び国内における受注残の消化の遅れや欧州の市況が弱含みに推移したことなどが業績に影響した。
■事業別・地域別の概況
① 金属加工機械事業
売上収益は1,397億100万円(前年同期比8.1%減)、営業利益は115億9,100万円(同39.2%減)となった。
<板金部門 地域別の概況>
• 日本:人手不足や資材・工事費の高騰により、顧客側での工場建設や付帯設備工事の遅延が続いており、引き続き受注残の消化に遅れが生じている。業種別では、データセンター関連で空調や配電盤などの需要が堅調に推移した一方、産業機械・特殊機械装置、トラック・バス・特殊車両などに関連する設備投資は軟調に推移し、売上収益は434億8,900万円(同7.6%減)。
• 北米:米国では、製造業の回帰やデータセンター建設を背景に需要は引き続き好調に推移している。その一方で、移民政策等に起因した人手不足により受電設備工事や工場建設の遅れなどが発生し、当社機械の据付が行えず、売上計上時期が延伸している。カナダでは、米国の関税政策の動向や協定再交渉を控えた先行き不透明感から、設備投資に慎重な姿勢が続いている。その結果、売上収益は393億3,500万円(同4.0%減)。
• 欧州:米国との対EU関税合意により不確実性が後退したと思われるものの、資源価格の高止まりから引き続き地域全体で慎重な投資姿勢が続いている。その結果、売上収益は276億3,500万円(同16.7%減)。
• アジア他:インドでは、インフラ関連を中心に堅調に推移しており、台湾では、電子製品を中心に回復基調にある。ASEANでは、タイやベトナムにおいて、コンピュータや電子製品関連が堅調に推移した。その結果、売上収益は165億5,700万円(同5.7%増)。
<微細溶接部門>
国内ではEV関連が引き続き軟調に推移した。海外では、中国でAI関連の電子部品やEV車向けの自動車部品・電装品関連で堅調に推移したものの、米国では環境対応の先行き不透明感からEV車載電池向け投資で抑制や案件の延伸が続いた。その結果、売上収益は前年同期比で減収となった。
② 金属工作機械事業
売上収益は408億3,600万円(前年同期比27.8%増)、営業利益は40億8,200万円(同12.6%増)となった。
<切削・研削盤部門>
海外では、北米で大手鋼材販売業の需要や、アジア地域で消耗品であるブレードの需要が伸長した一方、国内では建材や自動車関連分野の設備投資が軟調に推移し、売上収益は前年同期比で減少した。
<プレス部門>
国内及び中国では、前年同期に自動車・精密機械向けやEV関連の大口案件を売上計上していた反動もあり低調に推移した。一方、米国では、データセンター関連でAIや空調設備などの需要が旺盛であったことに加え、現地生産化の進展に伴う日系自動車部品サプライヤーによる設備投資が堅調に推移した。加えて、5月1日付でエイチアンドエフグループを連結子会社化した結果、プレス部門では国内外ともに増収となった。
■企業結合について
当中間期において、同社は2つの重要な企業買収を実施した。
・株式会社エイチアンドエフの連結子会社化(2025年5月1日付)
取得価額177億円で、プレス機械、各種自動化装置、制御装置の製造・販売を手がけるエイチアンドエフの全株式を取得。エイチアンドエフのプレス事業と当社の保有する中小型プレス機械との補完性や、販売基盤と加工ノウハウ等の活用により、事業機会の拡大、経営基盤の強化等、更なる企業価値向上が期待される。
・ビアメカニクス株式会社の連結子会社化(2025年7月1日付)
取得価額510億円で、半導体パッケージ基板及びプリント基板向けの高精度なドリル穴明機/レーザ加工機の研究・開発、設計、製造、販売、サービスを手がけるビアメカニクスの全株式を取得。同社が保有する半導体産業における顧客基盤の活用などによる事業機会の拡大、経営基盤の強化等が期待される。この買収により、のれん337億9,500万円が計上された。
■今後の見通し
当中間期の業績及び直近の受注動向に加え、2025年7月より新たに連結子会社となったビアメカニクスグループの業績を反映した結果、当初想定を上回る通期業績が見込まれるため、2026年3月期通期の連結業績予想を以下のとおり上方修正した。
• 売上収益:4,400億円(前回予想比8.6%増、前年同期比10.9%増)
• 営業利益:460億円(同2.2%増、同6.3%減)
• 親会社の所有者に帰属する当期利益:320億円(同3.2%増、同1.2%減)
予想の前提となる第3四半期以降の主要為替レートは、1米ドル=145.00円、1ユーロ=160.00円を想定しており、通期の平均レートは、1米ドル=145.52円、1ユーロ=164.03円となる。
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