荏原製作所、三菱電機の三相モータ事業を譲受へ、脱炭素・省エネソリューション強化

荏原製作所は11月12日、三菱電機と、同社の名古屋製作所新城工場(愛知県新城市)で製造する三相モータおよびIPMモータ事業、並びにタイ子会社が展開する産業用モータ・ポンプ・ダイカスト事業を譲渡することで合意したと発表した。関係当局の審査・承認を経て、2026年中の譲渡完了を予定している。

荏原は、ポンプや送風機など自社製品の中核部品となるモータ事業を自社内に取り込むことで、設計から制御技術まで一体化した「高効率・省エネソリューション」の強化を狙う。一方、三菱電機はFAシステム事業に経営資源を集中し、シーケンサ・サーボ・CNCなどのコアコンポーネント分野での成長加速を図る。

今回の譲渡対象には、名古屋製作所新城工場で製造される三相モータおよびIPMモータ事業と、タイのMitsubishi Electric Automation(Thailand)Co., Ltd.の産業用モータ、ポンプ、ダイカスト事業が含まれる。荏原は本事業を承継する新会社を設立し、モータ技術と製造資産、人材などを引き継ぐ。なお、新城工場におけるCNC用主軸モータ・サーボモータ事業は譲渡対象外とし、三菱電機が引き続き同工場の一部を活用して生産を継続する。

荏原はこれにより、日本およびタイにおけるモータの開発・生産基盤を獲得。既存の流体・熱制御技術と統合することで、モータ・回転機械の高効率化や予知保全などを含むソリューション展開を強化する方針。

同社 建築・産業カンパニープレジデントの永田修氏は、「モータと産業機器の統合を推進し、省エネ・予知保全などの高付加価値ソリューションを展開する。両社の資源を融合し、グローバル市場でのプレゼンス拡大を目指す」と述べた。

一方、三菱電機 FAシステム事業本部長の都築貴之氏は、「約100年にわたって築いてきた三相モータ事業の技術と実績を荏原に託す。今後はデジタル基盤『Serendie(セレンディ)』を活用し、デジタルソリューション事業の成長を加速する」とコメントした。

今回の事業譲渡により、荏原は産業機械の基幹コンポーネントであるモータの内製化を進め、脱炭素社会実現に向けたエネルギー効率化技術の開発を加速させる構えである。

<概要>
基本合意日:2025年11月12日
譲渡先:荏原製作所が新設する100%子会社
譲渡対象事業:①三菱電機 名古屋製作所 新城工場の三相モータ・IPMモータ事業
②Mitsubishi Electric Automation (Thailand) Co., Ltd.の産業用モータ・ポンプ・ダイカスト事業
譲渡対象工場所在地:①愛知県新城市有海字鳥影1-1/②Bang-Chan Industrial Estate No.111 Soi Serithai 54, Bangkok, Thailand
譲渡完了予定:2026年中

■荏原製作所 概要
所在地:東京都大田区羽田旭町11-1
創業:1912年11月(設立1920年5月)
事業内容:ポンプ、冷熱機器、送風機、コンプレッサ・タービン、真空ポンプ、環境プラント、CMP装置などの開発・生産・販売

■三菱電機 概要
所在地:東京都千代田区丸の内2-7-3
設立:1921年1月
事業内容:社会システム、エネルギー、FAシステム、ビルシステム、空調・家電、デジタルイノベーション、半導体・デバイスなど

ニュースリリース(荏原製作所)
ニュースリリース(三菱電機)