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独クラース(CLAAS)、AXION 9.450 TERRA TRACが「Tractor of the Year 2026」受賞

・高出力カテゴリーで独自の半クローラ機構と先進技術が高評価

クラース(CLAAS):2025年11月10日

農業機械大手の独クラース(CLAAS)は、2025年11月に開催された世界最大級の農業機械見本市「Agritechnica 2025」において、新型大型トラクター「AXION 9.450 TERRA TRAC」が「Tractor of the Year 2026」高出力(HighPower)部門を受賞したと発表した。同賞は、26名の国際農業・農機ジャーナリストによる審査のもと、革新性・性能・快適性などを総合的に評価して選出されるもので、同機は4機種の競合を抑えての受賞となった。

■業績概況:高出力×スマート化で大規模農業に最適解

AXION 9.450 TERRA TRACは、最大出力450馬力のエンジンに加え、半クローラ式のTERRA TRAC走行装置を搭載。高い牽引力と低接地圧を両立し、耕起から播種、草地作業、収穫時の搬送まで、年間を通じた多用途運用を可能にする。

また、CCLS油圧システム(最大流量370L/分)、11トン超のリアリフト能力、ISOBUSおよびPower Beyond対応など、大規模農場向けに最適化された仕様を備える。さらに、CEMOS(作業最適化支援)、Dynamic Auto Droop(負荷予測制御)、CEBIS connect(クラウド連携)といったスマート機能が、精密農業の高度化を支援する。

審査員団は「高出力とデータ駆動型の性能管理、快適性を高次元で融合した点を高く評価した」とコメントしている。

■技術開発:快適性・自動化・接続性を軸に刷新

AXION 9 CMATICシリーズは、快適性・自動化・コネクティビティの3軸を開発コンセプトに掲げ、エンジン・トランスミッション・アクスルといった主要コンポーネントを熟成。新設計のキャビンは3㎥の広さと66dB(A)以下の静音性を実現し、四点支持サスペンションと相まって長時間作業時の疲労軽減に寄与する。

また、ステップレスCMATICトランスミッションには、作業負荷を予測して駆動を最適化する自己学習型アルゴリズム「Auto Load Anticipation」を搭載。これにより、作業効率と燃費性能の両立を図る。さらに、メンテナンス間隔の延長により、稼働率と経済性の向上も実現している。

■市場展望:持続可能な大規模農業の中核機へ

クラース社CTOのマルティン・フォン・ホイニンゲン=ヒューネ(Martin von Hoyningen-Huene)博士は、「本シリーズの開発にあたっては、農業現場の声を徹底的に反映した。受賞は開発陣だけでなく、現場のユーザーの協力の賜物だ」と述べる。

同社は、TERRA TRAC技術やステップレス・パワースプリットトランスミッションなど、独自のコア技術を融合させることで、持続可能な大規模農業の中核機としての地位確立を目指す。

■今後の展開:クラウド連携と自動化で次世代農業を牽引

最新モデルのAXION 9 TERRA TRACは、CLAAS connectによるクラウド連携、AgXeed社製VCU(車両制御ユニット)によるレベル2自動化機能を搭載。農業機械のデジタル化・自律化の潮流を牽引する存在として、今後の市場展開が注目される。

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