NOKとイーグル工業、共同持株会社設立、シーリング事業で統合シナジー追求

・2026年10月に新会社「NOK Group」設立予定、両社の経営資源を相互活用し企業価値向上図る

NOKイーグル工業は11月10日、共同株式移転による経営統合を発表した。2026年10月1日付で共同持株会社「NOK Group株式会社」を設立し、両社はその完全子会社となる。新会社は同日付で東京証券取引所プライム市場にテクニカル上場する予定。

■シール事業の補完関係に着目

両社の統合は、回転機械の軸封部における「シーリング・ソリューション」という共通項に注目したもの。NOKはゴム製オイルシール、イーグル工業はメカニカルシールと、主力製品の適用領域や基盤技術は異なるものの、統合により総合的なシール製品メーカーとしての競争力強化を目指す。

NOKは1941年創立で、オイルシールを中心としたシール製品やフレキシブルプリント基板などエレクトロニクス製品を手掛ける。連結売上高は7,669億円(2025年3月期)、従業員数は約3万8,000人。

イーグル工業は1964年にNOKのメカニカルシール製造部門が独立して設立。自動車・建設機械、半導体、舶用、航空宇宙など5つの事業分野でメカニカルシールの総合メーカーとしての地位を確立している。連結売上高は1,682億円(同)、従業員数約6,300人。

■3つの統合シナジーを想定

経営統合により期待されるシナジーとして、両社は次の3点を挙げる。
第一に、グループ資源の最適化による事業成長。NOKの有機材(ゴム)技術とイーグル工業の無機材(金属・セラミック)技術を組み合わせ、製品ラインアップの拡充と顧客基盤の相互活用を図る。
第二に、効率的事業運営による収益力強化。物流効率化、営業拠点の統合、グローバル生産拠点の有効活用、治工具・金型の内製化拡大、購買力向上などを推進する。
第三に、経営資源の戦略的配分。持株会社に間接部門を集約し、グループ全体を俯瞰した投資戦略の立案・実行により、M&Aを含めた事業投資を戦略的に推進する。

■株式移転比率は1対1

株式移転比率は、NOK普通株式1株に対して共同持株会社株式1株、イーグル工業普通株式1株に対して同1株を割当交付する。両社はそれぞれ第三者算定機関(NOKは大和証券、イーグル工業はみずほ証券)から算定書を取得し、公正性を確保した。

新会社の資本金は50億円。代表取締役グループCEOには鶴正雄氏(現NOK代表取締役社長執行役員)が、取締役には鶴鉄二氏(現イーグル工業代表取締役社長)が就任予定。機関設計は監査等委員会設置会社とする。

■公正性担保措置を徹底

NOKはイーグル工業の発行済株式の32.03%(自己株式除く、2025年9月30日現在)を保有するその他の関係会社であることから、イーグル工業は利益相反に配慮した公正性担保措置を講じた。具体的には、社外取締役4名と外部有識者1名からなる特別委員会を設置し、14回にわたる審議を経て「一般株主にとって公正」との答申を取得。また独立した第三者算定機関や法務アドバイザーを起用し、株式移転比率の妥当性を検証した。

今後のスケジュールは、2026年3月31日を定時株主総会基準日とし、同年6月下旬に株式移転計画承認の株主総会を開催予定。両社株式は同年9月29日に上場廃止となり、10月1日に共同持株会社が設立・上場する計画。

カーボンニュートラル実現に向けた環境・省エネ製品の開発や、次世代モビリティ市場への対応など、シール業界を取り巻く事業環境が大きく変化する中、両社の経営統合は業界再編の新たな動きとして注目される。​​​​​​​​​​​​​​​​

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