CNHインダストリアル、25年7~9月売上は5%減の44億ドル

・農機・建機とも需要減と関税影響で減益、通期利益見通しを下方修正

CNHインダストリアル(CNH Industrial N.V.):2025年11月7日

CNHインダストリアル(英国バジルドン)は11月7日、2025年9月期第3四半期(7~9月)の決算を発表した。農業機械および建設機械市場の需要減少と販売網在庫の削減を受け、連結売上高は44億ドル(前年同期比5%減)、純利益は6,700万ドル(同3億1,000万ドル)と大幅減益となった。1株当たり利益は0.06ドル(前年同期0.24ドル)。

産業活動(農業機械・建設機械)部門の売上高は37億ドル(同7%減)で、営業キャッシュフローは6億5,900万ドル、産業部門のフリーキャッシュフロー吸収は1億8,800万ドルだった。

同社のゲリット・マルクス(Gerrit Marx)CEOは、「厳しい通商環境の中でも、当社は在庫削減や技術投資を継続し、品質とオペレーショナル・エクセレンスを追求している。市場回復を見据えた基盤づくりを進めている」とコメントした。

■セグメント別業績
<農業機械部門>
北米では、140馬力未満のトラクター需要が横ばい、140馬力超は41%減、コンバインは23%減となった。EMEA(欧州・中東・アフリカ)ではトラクター需要が2%減、コンバインが19%増。南米ではトラクター4%減、コンバイン15%減。アジア太平洋ではトラクター19%増、コンバイン20%減となった。

同部門の売上高は29億6,000万ドル(前年同期比10%減)で、北米市場の需要減少と在庫調整による出荷減が響いた。一方、東欧や中東・アフリカ地域では需要が堅調だった。

調整後EBIT(利払前・税引前利益)は1億3,700万ドル(前年同期3億3,600万ドル)で、関税コストや地理的販売構成の悪化、販売費・一般管理費(SG&A)の増加が影響した。EBITマージンは4.6%(前年同期10.2%)。

研究開発費は売上比8.6%(前年同期6.0%)に増加。2023年に買収したベナマン(Bennamann)社の未完了R&D資産に対する非現金減損4,900万ドルを計上した。同技術は家畜廃棄物からメタンを回収・精製して「ゼロカーボン燃料」を生成するもので、同社は今後、メタン廃棄物の浄化・アップグレード事業に重点を移す。

<建設機械部門>
世界の建機需要は前年同期比で大型機6%増、小型機3%増と堅調に推移。地域別では北米4%増、EMEA3%増、南米1%増、アジア太平洋6%増だった。

同部門の売上高は7億3,900万ドル(前年同期比8%増)で、北米とEMEAでの出荷増と価格改善が寄与した。

しかし、調整後EBITは1,400万ドル(前年同期4,000万ドル)に減少。関税コストや販売構成の悪化、SG&A費増加が重しとなり、EBITマージンは1.9%(同5.8%)に低下した。

<金融サービス部門>
金融サービス部門の収益は4%増。ブラジルでの高金利収益と為替効果が寄与したが、北米・EMEAでのボリューム減が一部相殺した。

純利益は4,700万ドル(前年同期比3,100万ドル減)で、リスクコストと経費増が影響した。管理資産残高は285億ドル(前年同期比5億ドル減)で、小売が71%、卸売が29%を占めた。

延滞債権比率(30日超)は3.5%(前年同期2.2%)と上昇し、ブラジルでの延滞増が要因とされる。

■2025年通期見通し
同社は、需要減と在庫削減の影響を踏まえ、生産を前年より抑制している。北米中心からEMEAへの販売シフトが農機部門の利益率を圧迫しており、加えて米国による鉄鋼・アルミ関税拡大(2025年8月発効)が業績に影響している。

供給網との連携による代替調達、在庫消化、価格改定などで一部吸収を進めているが、短期的には顧客と関税コストを分担している状況。

この結果、同社は2025年通期見通しを以下のように修正した。
• 農業機械部門売上高:前年同期比11~13%減
• 同部門EBITマージン:5.7~6.2%
• 建設機械部門売上高:同3~5%減
• 同部門EBITマージン:1.7~2.2%
• 産業部門フリーキャッシュフロー:2億~5億ドル
• 調整後1株当たり利益:0.44~0.50ドル

<業績概要>
項目:2025年第3四半期連結業績
売上高:44億ドル(前年同期比5%減)
純利益:6,700万ドル(同3億1,000万ドル)
農業機械部門売上高:29億6,000万ドル(同10%減)
建設機械部門売上高:7億3,900万ドル(同8%増)
金融サービス部門純利益:4,700万ドル(同3,100万ドル減)
調整後EPS:0.06ドル

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