・北米最大級のリチウム資源開発に最新電化技術を提供
ABB (エービービー):2025年11月4日
スイス・チューリッヒ発、電動化と自動化の世界的リーダーであるABBは、リチウム・アメリカズ(Lithium Americas Corp.)より、米国ネバダ州で進行中の「サッカーパス・リチウムプロジェクト(Thacker Pass Lithium Project)」の電化パートナーに選定された。同プロジェクトは、北米で最大規模のリチウム資源量を有する鉱床開発として注目されており、稼働後は年間4万トンの炭酸リチウムを生産し、約80万台分の電気自動車(EV)バッテリー製造を支える見通しだ。
■米国リチウム供給網の強化と脱炭素化を後押し
電気自動車や蓄電池の需要が急拡大する中、サッカーパス鉱山は米国内リチウム供給網の強化を目的に開発が進む。ABBは、同鉱山および精製施設の高効率・高安全・高持続可能な操業を支援し、プロジェクト全体の脱炭素化とリスク低減に貢献する。
ABBは、エンジニアリング大手ベクテル(Bechtel)とともに、スイッチギヤ、モーター制御センター、可変速ドライブ、補助電源配電ユニット、統合型電力管理システムなど、最新世代の電化ソリューション一式を供給する。これらはモジュール型電気棟に組み込まれ、現地据付に対応。遠隔地かつ過酷な環境でも高耐久性と高性能を発揮する設計となっている。さらに、ABBのデジタルプラットフォームと統合することで、エネルギー使用の最適化、設備健全性の維持、稼働効率の最大化を図る。
■「電動化・デジタル化された次世代鉱山」のモデルケースに
リチウム・アメリカズのリチャード・ガースパッシャー(Richard Gerspacher)資本プロジェクト担当上級副社長は次のように述べている。
「ABBとの協業は、サッカーパス鉱山で安全かつ責任あるリチウム生産を実現する上で重要な節目となる。ABBの技術と経験は、米国内でのリチウム供給を支えるだけでなく、米国の労働者・企業・地域社会にも経済的恩恵をもたらすだろう。」
また、ABBプロセス産業部門マイニング&マテリアルズ担当グローバルビジネスラインマネージャーのビヨン・ヨンソン(Björn Jonsson)氏は次のように語っている。
「サッカーパスは、将来の鉱山の在り方を示す『電動化・デジタル最適化』のモデルケースである。ABBは、エネルギー自立を支える強靭なリチウム供給網構築に貢献できることを誇りに思う。」
■eMine™ コンセプトによる全電動鉱山化を推進
ABBは、プロジェクトの構想段階から稼働準備まで、全ライフサイクルにわたりプロジェクトマネジメントと設計・供給を担当。低・中圧電力技術とデジタル電力管理システムを統合し、安全性・信頼性・稼働率を高める。
この取り組みは、ABBの「eMine™」コンセプトに基づくもので、鉱山の電動化を通じてCO₂排出削減とエネルギー効率向上を両立させる。同社の統合電化・自動化・デジタル技術は、鉱山事業者の生産性を維持しながら、持続可能な操業を実現することを目的としている。
■ABBについて
ABBは、電化および自動化分野で140年以上の歴史を有するグローバル企業で、約11万人の従業員を擁する。エンジニアリングとデジタル技術の融合により、産業の高効率化・高生産性・持続可能性を実現している。株式はスイス証券取引所(ABBN)およびナスダック・ストックホルム(ABB)に上場。
同社プロセスオートメーション事業は、電力・水・素材供給から製造・物流まで、幅広い産業分野の自動化・電化・デジタル化を推進している。約2万人の従業員を擁し、より効率的かつクリーンな生産を支援している。
参考:
1. Lithium Americas
2. IEA「Global EV Outlook 2025」
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