・データセンター向けバックアップ電源需要が牽引、北米トラック市場低迷を克服
カミンズ(Cummins):2025年11月6日
コロンバス(米インディアナ州)発、米国の総合パワーソリューション大手カミンズ(NYSE:CMI)は11月6日、2025年第3四半期(7〜9月期)の決算を発表した。売上高は83億ドル(前年同期比2%減)となったものの、パワーシステム(Power Systems)事業と流通(Distribution)事業の収益性の高い成長により、堅調な業績を維持した。
ジェニファー・ラムゼイ(Jennifer Rumsey)会長兼最高経営責任者(CEO)は「データセンター向けバックアップ電源の需要増加が続いたことが、成長を牽引した。全社的な効果的なコスト管理により、予想されていた北米トラック市場の急激な落ち込みを乗り切ることができた」と述べた。
■電解装置事業で戦略見直しへ
同社は第3四半期に、アクセレラ(Accelera)事業セグメントに含まれる電解装置(Electrolyzer)事業に関連して2億4,000万ドル(希薄化後1株当たり1.73ドル)の非現金費用を計上した。ラムゼイCEOは「政策主導による水素採用期待の変化を反映したもの」と説明し、「需要見通しが著しく弱まったため、電解装置事業の戦略的見直しに着手している」と明らかにした。
■地域別・事業別の業績概況
第3四半期の純利益は5億3,600万ドル(希薄化後1株当たり3.86ドル)で、前年同期の8億900万ドル(同5.86ドル)から減少。税率は32.7%で、アクセレラ関連の非控除コストや「ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル・アクト(One Big Beautiful Bill Act)」実施に伴う税務コスト3,600万ドル(同0.26ドル)が影響した。
EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は12億ドルで売上高比14.3%。前年同期は14億ドル(同16.4%)だった。
地域別では、北米の売上高が4%減少した一方、中国と欧州での需要増により国際市場は2%増加した。
■事業セグメント別業績
エンジン(Engine)事業は売上高26億ドル(11%減)、EBITDA2億6,100万ドル(売上高比10.0%)。米国とメキシコでの中・大型トラック需要減少が響いた。
コンポーネント(Components)事業は売上高23億ドル(15%減)、EBITDA2億9,200万ドル(同12.5%)。北米で24%減少したが、国際市場は横ばいだった。
流通(Distribution)事業は売上高32億ドル(7%増)、EBITDA4億9,200万ドル(同15.5%)と好調。北米での発電装置需要増加により13%増収となった。
パワーシステム(Power Systems)事業は売上高20億ドル(18%増)、EBITDA4億5,700万ドル(同22.9%)と大幅増益。北米、インド、中国のデータセンター市場での発電装置需要増が主要因となり、北米で20%増、国際市場で17%増収となった。
アクセレラ(Accelera)事業は売上高1億2,100万ドル(10%増)だったが、EBITDAは3億3,600万ドルの損失。このうち2億4,000万ドルはのれん減損と棚卸資産評価減による非現金費用が占めた。
■配当増額、2025年通期見通しは未定
同社は四半期配当を1株当たり1.82ドルから2.00ドルに引き上げた。16年連続の増配となる。
ラムゼイCEOは「多様化されたポートフォリオ、効果的なコスト規律、顧客への貢献により、不確実性が続く中でも第3四半期は好業績を達成した」とコメント。2025年通期の業績見通しは提供しないが、「2026年の見通しを示す2月に財務ガイダンスを再開する予定」とした。
■カミンズについて
カミンズ(Cummins)は1919年創業で、エンジン、コンポーネント、流通、パワーシステム、アクセレラの5事業を展開。約7万人の従業員を擁し、2024年の売上高は341億ドル、純利益は39億ドルだった。
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