三菱製鋼、防衛・エネルギー分野対応で長崎に新工場建設

・1994年以来の新拠点、46億円を投じ生産能力を倍増へ

三菱製鋼(東京都中央区)は11月6日、グループの機器装置事業を担う三菱長崎機工(長崎県長崎市)が、防衛・エネルギー関連製品の需要拡大に対応するため、新たに「神ノ島工場(仮称)」を長崎市神ノ島工業団地内に建設すると発表した。新工場は1994年以来となる国内新拠点で、総投資額は約46億円。2027年1月の稼働を予定している。

同社は「2023中期経営計画」に基づき、機器装置事業をグループの中核事業へと成長させる方針を掲げており、エンジニアリングとマニュファクチャリングを融合した高い技術力を強みに投資を加速している。防衛・エネルギー分野での構造的な需要増を背景に、当初計画を上回る受注が続いていることから、生産能力拡大を決断した。

■防衛・エネルギー分野の需要が追い風

防衛分野では、同社が昭和初期から培ってきた熱処理技術を基盤とする防弾鋼板や防護装備品の受注が好調に推移。防衛予算の拡大を背景に、今後も高付加価値製品への展開を進める。

一方、エネルギー分野では、AI普及やデジタル化の進展による電力需要の増大に伴い、ガスタービン用ケーシングなど発電所向け製品の受注が拡大。さらに、浮体式洋上風力発電関連部材でも納入実績を持ち、再エネ市場の拡大を見据えて大型構造物に対応できる生産体制を強化する。

■新工場の概要

新工場は防衛関連製品やエネルギー関連機器の生産能力拡大を目的に建設される。大型機器の海上輸送を前提としたレイアウト設計により、物流効率とリードタイムの短縮を図り、コスト競争力を高める。

三菱製鋼は、新工場の稼働により防衛・エネルギーの両分野で安定的な受注基盤を確立し、持続可能な社会の実現に向けた技術開発と製造力の強化を図る方針。

<新工場計画概要>
名称:三菱長崎機工株式会社 神ノ島工場(仮称)
建設地:長崎県長崎市神ノ島工業団地内(長崎県議会承認後、正式契約予定)
敷地面積:約6.9ha
延床面積:約11,000㎡
生産品目:エネルギー関連製品、防衛関連製品(防護装備品)等
総投資額:約46億円(第1期:約30億円)
稼働時期:2027年1月(予定)

■三菱長崎機工の概要

三菱長崎機工は1975年創業の総合エンジニアリング企業で、機械設計から製造、据付・組立工事まで一貫して手掛ける。防護装備品、鍛圧機械、発電設備用鉄構品を中心に、水素・アンモニア関連機器や化学装置にも事業領域を拡大中。既存技術を応用し、航空機分野への参入も進めている。

<会社概要>
社名:三菱長崎機工株式会社
所在地:長崎県長崎市深堀町1丁目2番地1
代表者:代表取締役社長執行役員 空閑哲雄(くが・てつお)
事業内容:産業機械・鉄構品の開発・製造・販売
資本金:9億円
設立:1975年1月

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