三菱ロジスネクストは11月7日、2026年3月期第2四半期(2025年4〜9月)の連結決算を発表した。売上高は円高ドル安の影響に加えて米州での売上減少もあり、3,177億4,000万円(前年同期比3.3%減)となった。利益面では米州での売上減少及び販売コストの増加が響き、営業利益は80億3,800万円(同48.0%減)、経常利益は49億9,500万円(同59.5%減)と大幅減益となった。親会社株主に帰属する中間純損失は7億1,000万円(前年同期は99億7,300万円の利益)を計上した。
のれん等償却の影響を除いた営業利益は122億6,400万円(同40.9%減)で、営業利益率は3.9%(同2.5ポイント減)となった。
2025年度は中期経営計画「Logisnext Transform 2026」の2年目にあたり、最終年度での売上高7,000億円、のれん等償却前営業利益率8%の達成を目指している。物流機器市場については、国内やアジア・中国では堅調な需要が継続し、欧州も緩やかに持ち直しているものの、主力の米州市場が極めて厳しい事業環境となっている。
米州では、米国関税232条の適用範囲拡大により更なる需要鈍化が生じており、大口顧客の発注先延ばしや、価格攻勢が増す韓国勢との販売競争激化が顕著となった。その結果、エンジン認証取得遅延で一時出荷停止のあった前年同期と比較しても販売台数は低下している。米国関税等によるコストアップを販売価格に転嫁することがますます困難になっており、一連の米国関税政策はグローバル各地域での景気減速も引き起こすことが懸念され、同社事業の今後の見通しを困難かつ厳しいものにしている。
また、国内エンジン製造子会社において、北米での認証取得遅延に係る偶発損失に備えるための引当金を追加計上(32億5,000万円)したことも、純損失計上の要因となった。
■セグメントごとの経営成績
<国内事業>
受注が堅調に推移する中、価格適正化の効果はあったものの、商流変更により一部製品が海外事業セグメントへ移管となったため、売上高は928億1,200万円(同1.9%減)となった。セグメント利益は、国内販売は堅調に推移しているものの、北米向けノックダウン部品の供給が減少したこともあり、10億3,300万円(同38.6%減)となった。
のれん等償却の影響を除くと、セグメント利益は30億3,500万円(同26.3%減)となった。
<海外事業>
欧州・アジアでの増収があったものの、為替影響に加えて米州での売上の減少もあり、売上高は2,249億2,800万円(同3.9%減)となった。セグメント利益は、欧州・アジア・中国は増益となったものの、米州での減益影響が大きく、70億400万円(同49.1%減)となった。
特に米州においては、関税政策による景気の先行き不透明感からの需要鈍化や大口顧客の発注先延ばし、競争激化を背景とした受注確保のための販売コストの増加等もあり、売上高、セグメント利益ともに減少している。
のれん等償却の影響を除くと、セグメント利益は92億2,800万円(同44.5%減)となった。
■通期業績予想を再下方修正
同社は第2四半期までの実績と足許の事業環境を踏まえ、8月に発表した2026年3月期の通期業績予想を以下の通り修正した。
• 売上高:6,350億円(前期比4.6%減、8月予想比▲2.3%)
• 営業利益:140億円(同32.6%減、8月予想比▲41.7%)
• 経常利益:85億円(同42.8%減、8月予想比▲52.8%)
• 親会社株主に帰属する当期純利益:10億円(同88.5%減、8月予想比▲90.9%)
8月発表の業績予想では、相互関税の影響による需要の下振れ、競争環境の悪化、受注確保のための販売コストの増加に加えて、関税政策に伴うコスト増を全額価格転嫁で吸収することが困難であることを見込んでいたが、米州の足許の事業環境は急激かつ想定以上に悪化している。
主力である米州において、米国関税232条の適用範囲拡大により更なる需要鈍化が生じており、大口顧客の発注先延ばしもあって、販売台数は低下し、極めて厳しい事業環境となっている。加えて、価格攻勢が増す韓国勢との販売競争が激化し、米国関税等によるコストアップを販売価格に転嫁することがますます困難になってきている。
また、国内エンジン製造子会社において、北米での認証遅延にかかる偶発損失が想定を上回る見込みとなったため、第2四半期において特別損失として偶発損失引当金を追加計上した。
なお、のれん等償却前営業利益は225億円(8月予想比105億円減)となる見通しである。
同社は2026年3月期の配当について、業績悪化を受けて期末配当を無配(従来予想は24円)とすることを9月30日に公表済みである。
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