・減収減益も通期予想を上方修正
IHIが11月6日に発表した2026年3月期第2四半期(中間期)の連結決算は、売上収益が前年同期比5.8%減の7,136億円、営業利益が同10.1%減の694億円となった。税引前中間利益は同19.2%増の747億円、親会社の所有者に帰属する中間利益は同42.2%増の559億円と大幅な増益を確保した。
基本的1株当たり中間利益は52円76銭で、前年同期の37円10銭から42.2%増加した。なお、同社は10月1日付で普通株式1株につき7株の割合で株式分割を実施しており、1株当たり利益は株式分割後の株式数で算出している。
売上収益の減少は、中核事業における事業譲渡に伴う減収や前年同期の大型工事進捗の反動が主な要因となった。一方で、防衛事業の拡大や民間向け航空エンジンでのスペアパーツ販売の増加が下支えとなった。
営業利益については、民間向け航空エンジンのスペアパーツ販売増加に加えて運搬機械事業の譲渡益計上などによる増益要因があったものの、前年同期での整備費用発生遅れ及び為替円安の反動や、カーボンソリューションの一部海外事業の採算悪化により78億円の減益となった。
一方、税引前中間利益が大幅増益となったのは、為替差損の大幅な改善や持分法投資利益の増加が寄与した。これにより最終利益は前年同期比で166億円増加し、559億円に達した。
受注高は前年同期比17.5%増の8,934億円と好調に推移した。航空機需要の中長期的な増加を背景に、民間向け航空エンジンではスペアパーツ販売が予想を上回って拡大している。防衛事業でも防衛力強化の政策を背景に、大型案件への受注対応を進めている。
■ セグメント別業績
セグメント別では、航空・宇宙・防衛事業が売上収益2,739億円で前年同期比10.6%増となった。営業利益は販売費及び一般管理費の計上方法変更の影響もあり547億円で同28.6%の減益となったものの、引き続き収益の柱となっている。資源・エネルギー・環境事業は売上収益が1,591億円で同24.2%減、営業損益は1億円の損失となった。産業システム・汎用機械事業は売上収益2,094億円で同7.9%減、営業利益は170億円の黒字を確保した。
■事業ポートフォリオ改革を推進
同社は当中間期に事業ポートフォリオ改革を推進し、IHI汎用ボイラの全株式譲渡、運搬機械事業及びIHIアグリテックの芝草・芝生管理機器事業の譲渡を完了した。また8月には明星電気と新潟トランシスの株式譲渡契約を締結するなど、成長領域への経営資源のシフトを加速させている。
財政状態については、総資産が前期末比961億円増の2兆3,365億円となった。棚卸資産が805億円増加した一方、現金及び現金同等物は348億円減少した。親会社所有者帰属持分比率は前期末の21.5%から23.1%に改善した。
■通期の連結業績予想
通期の連結業績予想については、事業構造改革の進捗や民間向け航空エンジンのアフターマーケット需要拡大を踏まえ、売上収益を1兆6,400億円(前期比0.8%増)、営業利益を1,600億円(同11.5%増)、税引前利益を1,450億円(同4.7%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益を1,250億円(同10.9%増)に上方修正した。基本的1株当たり当期利益は117円49銭を見込んでいる。
配当については、中間配当を1株当たり70円(株式分割前)とし、期末配当は株式分割後の基準で10円を予定している。株式分割の影響を反映しない場合の期末配当は70円で、通期配当は140円となる。
同社は今後も航空エンジン・ロケット分野の成長事業とクリーンエネルギー分野の育成事業への戦略的な経営資源のシフトを進め、持続的な高成長企業への飛躍を目指す方針。
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