・排ガス再循環×吸収液技術でアジア市場の脱炭素化を加速
東芝エネルギーシステムズ(以下、東芝)とGEベルノバ(NYSE: GEV)は11月6日、コンバインドサイクル(GTCC)発電所向けCO₂分離回収統合ソリューションの提供に関する基本合意書(MoU)を締結したと発表した。両社の技術を融合し、日本およびアジア地域のガス火力発電所におけるCO₂排出量削減を推進する。
このソリューションは、GEベルノバの排ガス再循環(EGR)システムと、東芝独自の吸収液を用いたCO₂分離回収技術を組み合わせたもので、経済産業省とGEベルノバが主導するフォーカスグループの取り組みの一環として発表された。
■技術的背景と統合効果
GTCC発電所において、EGRシステムは排ガスをタービン入口に再循環させることで排ガス組成を変化させ、CO₂吸収塔の小型化と回収率向上を実現。東芝の吸収液技術は、発電所の熱源を活用して液温を上昇させることで、追加ボイラー不要の合理化設計を可能にする。
両技術の統合により、発電出力低下の抑制、資本コストの削減、運転柔軟性の向上が期待される。現在、国内主要電力会社と共同で実現可能性調査が進行中であり、協業の将来性が確認されている。
■事業戦略と展望
東芝とGEベルノバは1982年よりGTCC分野で協業を継続しており、2013年にはGEベルノバ製ガスタービンと東芝製蒸気タービン・発電機を組み合わせた先進GTCC設備を国内市場に展開。これまでに世界で20基、総容量13GW超のGTCC設備を受注し、うち18基が稼働中である。
今回のMoU締結により、両社は脱炭素化を加速するCCUS技術の普及を図り、ネット・ゼロ社会の実現に向けたエネルギーインフラの高度化を推進する。
■関係者コメント
経済産業省 資源エネルギー庁 木原晋一 統括調整官:
「エネルギー安定供給、経済成長、脱炭素の同時実現は世界的な急務。本取り組みの進展を歓迎する。」
東芝 パワーシステム事業部 松下丈彦 副事業部長:
「CO₂排出削減は喫緊の課題。GEベルノバとの協業を通じて、アジア地域での技術普及を加速したい。」
GEベルノバ カーボンソリューションリーダー ジェレミー・ウェザビー氏:
「GTCC発電性能の最大化とCO₂分離回収統合による出力低下の最小化に向け、東芝との連携を強化する。」
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