・CO2・NOx排出削減へ、既設機メーカーの技術力生かす
三菱重工業(MHI)は11月5日、ベトナム南部カントー市に位置するオモン(O Mon)第1火力発電所で進められている燃料転換プロジェクトにおいて、既設ボイラーの更新工事を受注したと発表した。油焚きから天然ガス焚きへの転換を支える中核設備で、主要機器としてガスバーナーなどを納入する。既設ボイラーを納入したメーカーとしての技術力を生かし、CO2排出量の大幅削減を実現する。また、排ガス中の窒素酸化物(NOx)を除去する脱硝装置を新設し、環境負荷を低減する。これにより同発電所は、将来的な環境規制強化への対応力も備えることとなる。
オモン第1火力発電所は33万kW級の1号機と2号機から成り、2009年と2015年にそれぞれ運転を開始。総出力66万kWで、主要機器の供給元はいずれも三菱重工である。今回の燃料転換は、同国電力公社(EVN)傘下の第2発電総公社(EVNGENCO2)が推進するもので、EPC(設計・調達・建設)はLILAMA CorporationとEVN傘下の第3発電総公社(EVNGENCO3)のコンソーシアムが担当。三菱重工はこのコンソーシアムから機器を受注した。
エンジニアリング支援および技術指導は、同社グループのシンガポール法人・三菱パワーアジアパシフィック(Mitsubishi Power Asia Pacific Pte. Ltd.)が行う。
三菱重工エナジードメインスチームパワー事業部長の藤田真氏は、「オモン第1火力はメコンデルタ地域の発展に寄与してきた重要拠点。今回のプロジェクトを通じ、同国の安定供給と温室効果ガス削減の両立に貢献したい」としている。
同社は2025年8月、隣接するオモン第4火力発電所向けにも、115万5,000kW級の最新JAC形ガスタービンを2台受注しており、2028年完成を予定している。ベトナム政府は発電開発計画「PDP8」で石炭依存の低減と天然ガス・再生可能エネルギー拡充を掲げており、今回の燃料転換・GTCC設備両案件は同方針を後押しするものとなる。
三菱重工グループは、引き続き発電プラントの安定稼働支援と脱炭素化技術の普及を通じ、エネルギー転換と環境保全に貢献していく構えだ。
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