工作機械大手のオークマが11月6日に発表した2026年3月期第2四半期(中間期、2025年4〜9月))の連結決算は、売上高が前年同期比10.5%増の1,052億1,700万円、営業利益が同7.7%増の60億5,800万円、経常利益が同14.6%増の62億1,300万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同27.2%増の45億5,300万円となった。1株当たり中間純利益は75円26銭で、前年同期の59円13銭から増加した。
当中間期の事業環境は、米国の関税政策の不確実性や地政学的リスクの高まり、インフレの継続により、世界経済の先行きが不透明な状況が続いた。工作機械需要は大手企業向けで底堅く推移したものの、中堅・中小事業者では設備投資に慎重な姿勢が継続した。
こうした環境下、同社は「Green-Smart Machine」と位置づけた環境配慮型工作機械を、自動化やDXソリューションとともにグローバルに展開した。連結受注額は前年同期比12.6%増の1,117億6,400万円となり、堅調な受注活動を展開した。
利益面では、部材コストの上昇や輸送コストの高止まり、人的資本投資の強化に対して、生産効率の向上や内製化の拡大によるコスト低減に注力した。コスト増加や米国関税負担の販売価格への転嫁にも努めたが、工作機械需要の伸び悩みにより工場の操業度は本格回復に至らず、受注機の契約納期が年度後半に集中したことが、上期の売上・利益の下押し要因となった。
■ 地域別業績
地域別では、日本の売上高は523億4,200万円と前年同期の431億2,600万円から大きく伸長した。米国の関税措置の影響で中堅・中小事業者の設備投資には慎重姿勢が強まったものの、航空機や防衛関連、一般産業機械、造船、建設機械、医療機器など様々な産業で活発な設備投資が見られた。セグメント利益は19億9,600万円で、前年同期の41億6,600万円から減少した。
米州は売上高が301億5,700万円(前年同期比8.0%増)となった。大手企業において航空宇宙、防衛関連、医療機器、エネルギー関連からの需要が堅調に推移した一方、中堅・中小事業者では関税政策の不確実性や金利高から設備投資に慎重な姿勢が続いた。セグメント利益は14億7,500万円で前年同期の10億4,400万円から増加した。
欧州は売上高が160億円(同6.3%減)となった。自動車産業の停滞や輸出産業の不振、米国の関税政策の影響などにより需要は弱含みで推移した。9月にドイツで開催された欧州工作機械見本市では、5軸制御マシニングセンタや複合加工機などの工程集約型工作機械の販売促進を図った。セグメント利益は1億5,000万円で前年同期の5億4,300万円から大幅に減少した。
アジア・パシフィックは売上高が67億1,700万円(同5.8%減)だった。中国では産業政策が設備投資を下支えする中、半導体製造装置や風力発電、一般産業機械からの需要が底堅く推移し、大手EV(電気自動車)メーカーからの大型投資案件も受注した。
その他のアジアでも国や地域により濃淡はあるものの、需要は底堅く推移した。セグメント利益は5億1,800万円で前年同期の3億2,200万円から増加した。
■製品別の販売実績
製品別の販売実績では、マシニングセンタが579億7,700万円(前年同期比27.2%増)と大幅に伸長し、構成比も55.1%と過半を占めた。複合加工機は279億7,600万円(同5.8%減)、NC旋盤は157億6,300万円(同4.1%増)だった。
■ 通期の連結業績予想
通期の連結業績予想については、当中間期において市況の回復が予想より遅れ、今後も回復は緩やかな足取りに留まると見込まれることから修正した。売上高は従来予想を維持し2,200億円(前期比6.4%増)としたが、営業利益は140億円(同4.4%減)、経常利益は145億円(同6.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は100億円(同4.3%増)へと下方修正した。1株当たり当期純利益は165円25銭を見込む。修正後の予想の前提為替レートは、通期で1ドル145円50銭、1ユーロ170円50銭としている。
同社は世界的な景気の先行き不透明感が残る中でも、航空宇宙、防衛関連、エネルギー関連の需要拡大や半導体製造装置関連の緩やかな拡大基調を期待している。また、国内外における労働人口減少や脱炭素化への対応といった社会課題への取り組みが進む中、省人化・自動化・高効率加工へのニーズは中長期的に底堅く推移する見通しだとしている。
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