・鹿島化学品工場にMOR用金属化合物専用設備、2028年稼働へ
半導体リソグラフィ材料の開発を手がけるADEKA(東京都荒川区)は10月31日、茨城県神栖市の鹿島化学品工場内に、次世代EUV(極端紫外線)リソグラフィの「高NA EUV」向けMOR(金属酸化物レジスト)用金属化合物の専用プラントを新設すると発表した。投資額は約32億円で、2026年4月に着工、2028年4月の営業運転開始を予定している。
半導体の高集積化・高積層化が進む中、リソグラフィ(露光)工程では、EUV露光装置の開口数(NA)拡大により解像度を高める「高NA EUV」技術の導入が見込まれている。これに伴い、従来主流のCAR(化学増幅型レジスト)に加え、より高いEUV吸収率とエッチング耐性を持つ新材料「MOR(金属酸化物レジスト)」の採用が進む見通しだ。
ADEKAが新設するプラントでは、MORに用いられる金属化合物を製造する。この材料は、EUV光吸収率やパターン形成時の耐久性を高める重要素材であり、同社がこれまでALD(原子層堆積)材料で培ってきた金属錯体技術を応用して開発した。すでに鹿島工場内の既存ALDラインで量産・出荷を開始しており、今後の高NA EUV対応需要拡大に備えて専用ラインを整備する。新建屋内には将来的な増設スペースも確保し、MOR以外の次世代リソグラフィ材料の製造も検討する。
同社グループは、先端半導体メモリ向けの高誘電材料(ALD材料)や、EUV・ArF露光向け光酸発生剤など、多様な先端材料を展開。2026年1月には、埼玉県久喜市の久喜開発研究所に新研究棟を竣工し、ALD・CAR・MOR材料の開発体制を一層強化する。
ADEKAは、先端フォトレジスト分野での技術革新を通じ、CAR向け材料で世界トップシェアの獲得を目指すとともに、次世代EUVリソグラフィを支えるMOR用材料の供給体制を確立していく考えだ。
<新プラント概要>
所在地:鹿島化学品工場(茨城県神栖市東和田29番地)
投資金額:32億円
延床面積:1,050㎡
スケジュール:着工=2026年4月/営業運転開始=2028年4月予定
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