PTユナイテッド・トラクターズ(United Tractors、以下UT)
:2025年10月30日
インドネシアのPTユナイテッド・トラクターズ(UT)は10月30日、2025年1〜9月期(第3四半期累計)の連結決算を発表した。売上高は前年同期比1%増の10兆500億ルピア、純利益は同26%減の1兆1,500億ルピアとなった。鉱山請負事業での降雨影響や石炭価格下落が利益を押し下げた一方、金鉱事業の寄与が拡大した。
■建設機械事業:コマツ販売が10%増、売上は11%増加
建設機械部門の売上高は前年同期比11%増の2兆9,300億ルピア。主力のコマツ(Komatsu)販売台数は10%増の3,653台に達し、引き続きインドネシア市場でシェア22%を維持した。
また、スカニア(Scania)の販売は298台から393台に増加したが、UDトラックスは156台から137台へ減少した。補修部品とサービス収入はわずかに減少し8,300億ルピアだった。
■鉱山請負事業:降雨で作業量減、売上8%減の4兆2,000億ルピア
鉱山請負事業は、子会社PTパマペルサダ・ヌサンタラ(PAMA)およびPTカリマンタン・プリマ・ペルサダ(KPP Mining)が担う。2025年1〜9月期の除土量は前年同期比10%減の8億2,900万bcm、石炭生産量も同2%減の1億900万トンとなった。
年間を通じた豪雨と顧客側の生産調整要請が影響し、売上は8%減の4兆2,000億ルピアにとどまった。
■石炭採掘事業:販売量増も価格下落で収益減
石炭採掘事業はPTトゥア・トゥランガ・アグン(Turangga Resources)が運営。自社鉱山からの石炭販売量は15%増の920万トン(うち製鉄用炭280万トン)、第三者分を含む総販売量は1,120万トン(10%増)と伸びた。
しかし、石炭価格の下落により売上高は9%減の1兆8,800億ルピアとなった。
■金・その他鉱物採掘事業:金価格上昇で売上53%増
金・その他鉱物採掘事業は前年同期比53%増の1兆300億ルピア。金の販売量と販売価格の上昇が寄与した。
金鉱事業では、子会社PTアジンコート・リソーシズ(PTAR)とPTスンバワ・ジュタラヤ(SJR)がそれぞれ操業。販売量は合計17万8,000オンスで、前年同期比8%増加した。
北スマトラ州のマルタベ鉱山を運営するPTARが17万オンス(3%増)、西ヌサトゥンガラ州スンバワ島のSJRが8,000オンスを販売した。
■ニッケル事業:精錬能力一部減損の影響
ニッケル事業では、PTスターゲート・パシフィック・リソーシズ(SPR)が東南スラウェシ州北コナウェで操業し、2025年第3四半期の販売量は160万湿トン(サプロライト鉱50万トン、リモナイト鉱110万トン)。
また、UTが20.14%を出資するニッケル・インダストリーズ(Nickel Industries Limited、NIC)はインドネシア国内で鉱山・製錬一体事業を展開しているが、旧式RKEFプラント2基の減損を2024年末に計上した影響で業績が圧迫された。NICの2025年前半のニッケル販売量は6万2,641トン。
UTは、建設機械販売の回復と金鉱事業の成長が進む一方で、降雨・石炭価格下落の影響が続く採掘部門の効率化に引き続き注力する方針を示している。
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