非鉄金属大手のJX金属(東京都港区)は9月26日、金属・リサイクル事業におけるリサイクル原料の処理能力拡充を目的に、佐賀関製錬所(大分県大分市大字佐賀関3-3382)で前処理設備の増強を決定したと発表した。投資額は約70億円で、2027年度の稼働開始を予定している。
今回の設備投資は、同社が推進する「グリーンハイブリッド製錬」構想の一環。銅精鉱の比率を抑え、リサイクル原料の比率を高める原料ポートフォリオの見直しを進める中、低品位E-wasteなど前処理を要する原料の増加に対応する。新設されるキルン炉等の前処理設備により、2025年比で約5割の処理能力増を見込む。
JX金属は、精鉱製錬の収益性低下を受けて製錬事業の強靭化を加速。リサイクル製錬への構造転換を図る中で、再生可能エネルギーの普及や電動化の進展に伴う銅資源の循環促進にも貢献する方針。
また、リサイクル原料から回収される貴金属・レアメタルは、同社の半導体材料事業や情報通信材料事業において具体的な需要があり、回収量の増加はサプライチェーンの強化にも直結する。これらの金属資源は、産出国の供給リスクを背景に「重要鉱物」として各国が戦略的に位置付けており、安定確保は社会的にも意義が大きい。
なお、今回の投資による2026年3月期連結業績への影響は軽微と見込まれている。