・国際的パートナーシップで重工業の新たな道筋を構築
フォーテスキュー (Fortescue):2025年9月25日
豪州の資源大手フォーテスキュー・メタルズ・グループ(Fortescue)は、気候変動対策には国境を越えた協力が不可欠として、世界各国の先進技術と製造能力を統合した包括的な脱炭素化戦略を発表した。同社は2030年までの「リアルゼロ(Real Zero)」達成に向け、中国の製造力、米豪の研究開発力、欧州の革新技術を組み合わせた多国間商業協力ネットワークを構築する。
グローバル技術連携で競争力確保
国連総会(United Nations General Assembly)期間中にニューヨーク(New York)で発表された今回の戦略では、同社は複数の世界的グリーンエネルギー企業との提携を発表した。電気自動車・バッテリー製造世界最大手のBYD、太陽光技術大手のロンジ(LONGi)、建設・鉱山機械メーカーのXCMG、風力・エネルギー貯蔵のリーダー企業エンビジョン・エナジー(Envision Energy)との合意により、24時間体制の低コストエネルギーシステムを構築し、化石燃料との競争で優位に立つ戦略だ。
■重機電化で業界変革を主導
特に注目されるのは、大型鉱山機械の電動化への取り組みだ。XCMG (徐工)との新規契約により、同社は2028年から2030年にかけて段階的に導入予定の240トン級ゼロエミッション運搬トラック300~400台の最大半数をXCMG から調達する。これは既存のリープヘル(Liebherr)社との契約に加わるもので、世界初の大規模バッテリー電動運搬トラック導入を実現する。
リープヘル(Liebherr)社は米国(United States)製造拠点から残り半数の運搬トラックと電動掘削機を供給予定で、フォーテスキューの子会社フォーテスキュー・ゼロ(Fortescue Zero)がピルバラ(Pilbara)の過酷な条件下での性能最適化を含む先進パワーシステムの開発・統合を担当する。
■風力発電技術で新展開
再生可能エネルギー分野では、スペイン(Spain)の風力技術企業ナブラウインド(Nabrawind)を完全買収し、エンビジョン・エナジー(Envision Energy)からの風力タービン調達と組み合わせることで、ピルバラ(Pilbara)での大規模風力プロジェクトを推進する。ナブラウインド(Nabrawind)の革新的自立式タワー設計により、より高い位置でのタービン設置が可能となり、強風を捉えてより多くの電力を生成できる。
■製造業界の脱炭素化モデル構築
アンドリュー・フォレスト(Andrew Forrest)会長兼創設者は「世界はかつて開かれた貿易と協力の恩恵を受けていたが、今は分裂している。フォーテスキュー(Fortescue)は、重工業が新たな道を歩めることを実証する実践的な提携により、多国間協力の精神を取り戻せることを示している」と述べ、排出量削減と収益向上の両立を強調した。
今回の戦略は、世界の製造業における脱炭素化の新たなベンチマークとなり、重工業界全体の変革を促進する可能性を秘めている。特に、中国(China)の製造規模と速度、欧米の研究開発力、オーストラリア(Australia)の運用実績を統合したアプローチは、他の資源・重工業企業にとって重要な参考モデルとなることが期待される。