ボッシュ・レックスロス、Agritechnica 2025で次世代農機向けデジタルソリューションを発表

ボッシュ・レックスロス(Bosch Rexroth):2025年9月25日

ローア・アム・マイン(ドイツ)発、ボッシュ・レックスロスは、農業機械向けの次世代デジタルソリューション群を国際農業機械見本市「Agritechnica 2025」に出展すると発表した。新開発のハードウエアとソフトウエアをモジュール化し、開発効率化と電動化・自動化の推進、さらには農業機械のコネクティビティ強化を狙う。

■開発効率化とリスク低減

同社はOEMメーカーの車両開発を支援する戦略的パートナーとして、省工数設計を可能にする拡張性の高いソリューションを提供する。標準に適合したモジュールを導入することで、メーカーは基礎開発に割く時間を削減でき、法規対応・安全性確保のリスクを抑制しながら、各機種固有の性能や操作性の向上に注力できる。

具体例として、検証済みのソフトモジュールを改変できる「Try it First」コンセプトや、MATLAB・Simulinkといった外部ツールと統合可能な開発環境「BODAS Studio」を用意。さらにAI活用検索機能を備える開発支援プラットフォーム「myBODAS」により、設計者が効率的に知見や回答を得られる仕組みを整えている。
OTA対応とコネクティビティ強化
通信分野では、テレマティクス基盤「BODAS Connect」によるOver-The-Air(OTA)更新機能を提供。ユニバーサルフラッシャーモジュールは汎用診断プロトコルUDSを用いて他社製制御ユニットにも対応可能とし、Trackunit社との協業によりサービスの拡張性を高めた。これによりフリート管理の最適化、保守性の向上、操作性の改善が期待される。また同社はEUの新機械規則(Machinery Regulation 2023)やサイバー・レジリエンス法(Cyber Resilience Act)を踏まえた安全性確保を強調している。

■自動化と安全性向上

農業現場の省人化・効率化に向け、センサーを活用した衝突回避システムCAS、アクチュエータ位置検知システムKPSなど、支援機能をパッケージ化。高性能制御ユニット「オフロード・ロボティック・コントローラ ORC2」は自動運転・複合作業の前提となる処理能力を備え、初心者も含めた作業者の安全性・生産性を高めるとしている。

■電動化ポートフォリオ

電動系では、電圧96Vから高電圧レンジまで対応する「eLION」ソフト群を展開。電力制御(EPC)、駆動制御(EDA)、ポンプ制御(PDC)により作業・走行双方の効率化を可能とし、新型高電圧モータ「EMP1」は取り付け寸法を変えずに最大5割の出力向上を実現する。

■油圧技術の新展開

油圧分野では、従来比で部品点数を25%削減し、全長を最大3割短縮した新型ラジアルピストンモータ「MPR Performance」を投入。始動効率は9%向上し、最大許容圧470バール仕様や高回転域対応により、農機設計の自由度と経済性を高める。また電子制御負荷感応システム「ELS」に対応するeOCポンプにより、作業機器の要求に応じた最適な油圧供給が可能となる。

同社子会社ハイドラフォース(HydraForce)との共同展示では、可変式小型サーボバルブEDG-OBEや新型クラッチ制御用TS90-G34Lバルブなど、コンパクトかつ高精度な制御機器を披露。制御開発用ソフト「HF-Impulse 2.0」により、油圧制御の設計も容易化した。

ボッシュ・レックスロスは「Agritechnica 2025」(会期:2025年11月、独ハノーバー、ホール16・ブースA05)において、農業機械の電動化・自動化・接続性を支える包括的な技術パートナーとしての立場を強調する。

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