・高性能コンピュータ「ORC2」発表、衝突回避や位置検知機能を拡充
ボッシュ・レックスロス(Bosch Rexroth):2025年9月25日
ローア・アム・マイン(ドイツ)発、ボッシュ・レックスロスは、農業機械の自動化およびロボティクス導入に向けた新たな技術基盤を発表した。新型の高性能コンピュータ「オフロード・ロボティック・コントローラORC2」は、農業車両における部分的・高度自動化に対応し、複雑な走行や作業機能を可能にする中核ユニットとなる。
■高度化する制御ユニット
ORC2はAIアプリケーションにも対応したモジュール式のオープンエコシステムを採用し、リアルタイムOS「QNX」とROS2スタックを統合。自動車分野で培った同社グループの技術を応用し、オフハイウェイ用途に特化した機能安全設計を実現した。高解像度センサー(LIDAR、レーダー、カメラなど)から得られる複雑なデータを処理し、各種制御コンセプトに柔軟に統合できる点が特徴である。
また、将来的には画像認識や環境検知、俯瞰表示(バードアイビュー)、さらには360度人物検知機能も組み込む計画で、安全性の確保と作業領域の監視機能強化につなげる。OEMメーカーもORC2上で自社独自のソリューション開発が可能となる。
■衝突回避と位置検知
同社が展開するBODASエコシステムには、既に複数のセンサーを活用した衝突回避システム(CAS)が含まれる。CASはレーダー、超音波、カメラを組み合わせて最大40個の物体を同時検知し、人と他の障害物を識別。国際安全規格(EN ISO 13849、DIN EN ISO 25119、DIN EN ISO 19014)に準拠したソフトウェアで、動力伝達系との連携により減速から緊急停止まで自動制御が可能になる。
さらに「キネマティック・ポジション・センシング」(KPS)は、慣性センサーを用いて農機の動作を高精度に把握し、自動リフト高さ制限など高度な機械制御の基盤を提供する。荷重検知機能「ペイロード・エスティメーション・ローダー」(PEL)を追加することで、走行中でも傾斜条件に関わらず積載重量を正確に測定できる。
■開発期間短縮と規制対応
BODASはソフトウェアの拡張性により、農機メーカーが車両性能を柔軟にスケール調整でき、新たなビジネスモデルとの連動も可能にする。また、豊富な開発ライブラリを備えることで、新型農業機械コンセプトの開発期間を大幅に短縮できるとする。同社は一連のソリューションを、2027年に施行される新機械規則およびサイバー・レジリエンス法にも対応させる計画だ。
ボッシュ・レックスロスは、「ORC2」と周辺ソリューションにより、農業機械の安全性、生産性、エネルギー効率の向上を顧客に提供していく考えである。
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