日本製鉄、USスチールの米国内製鉄所2拠点に約3億ドルの投資を発表

環境対応・高級鋼強化へ

日本製鉄は9月25日、戦略的パートナーであるUSスチール (United States Steel Corporation)の米国製鉄所2拠点に対する設備投資計画を発表した。今回承認された投資額は約3億ドル(約450億円、150円換算)で、日鉄がコミットする総額約110億ドル(1兆6,500億円)の投資枠の一部にあたる。

■ペンシルバニア州モンバレー製鉄所にスラグリサイクル設備を新設

日鉄による発表によれば、ペンシルバニア州モンバレー製鉄所(エドガー・トムソン工場)には、製鉄工程で発生する副産物スラグを再資源化するリサイクル設備を導入する。投資額は約1億ドルで、許認可取得後、2026年の着工を予定している。

同設備は、スラグにセメント原料等としての新たな価値を付加することで、収益性の向上と環境負荷の低減を両立させる狙いがある。

■インディアナ州ゲーリー製鉄所、熱延設備改造で高級鋼製品強化

また、インディアナ州ゲーリー製鉄所では、熱延設備の改造に約2億ドルを投資。製造コストの改善に加え、厚手ラインパイプや自動車用鋼板など高級鋼製品の供給力強化を図る。

ゲーリー製鉄所はUSスチール最大の製造拠点であり、高炉から製品工程までを備える一貫製鉄所。今回の改造は、同社の競争力向上に直結する重要施策と位置づけられている。

■日鉄・USスチール連携、操業改善や技術交流も進展

日鉄はすでに、アーカンソー州の電炉ミニミルやアラバマ州の鋼管ミルにおいて、USスチール技術者との連携を通じた操業改善を実現しており、両社の協業は着実に成果を上げている。

今回の設備投資は、USスチール全体で進行中のインフラ更新・能力増強・設備新鋭化の一環であり、日鉄の技術力と資本力が米国製鉄業界の変革を後押ししている。

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