・生成AI活用でトレーニング時間80%短縮、物流・医療・食品分野での展開加速
ABB:2025年9月17日
スイス・チューリッヒ発――ABBロボティクス(ABB Robotics)は、米国カリフォルニア州のAI企業LandingAIへの戦略的出資を通じ、ロボットビジョン分野におけるAI活用を加速させる。両社の協業は、ABBが掲げる「Autonomous Versatile Robotics(AVR™)」構想の実現に向けた重要な一歩となる。
ABBロボティクス&ディスクリートオートメーション部門のプレジデント、サミ・アティヤ氏は次のように述べている。「AIの進化は、ロボットの柔軟性と自律性を高め、製造業以外の分野への展開を可能にします。LandingAIとの協業は、より多くの企業がスマートかつ効率的に自動化を進めるための鍵となるでしょう。」
ABBはこの提携の一環として、同社の戦略的ベンチャーキャピタル部門「ABB Robotics Ventures」を通じてLandingAIに出資。詳細な投資額は非公開ながら、将来のロボティクス・オートメーション分野を牽引するスタートアップとの連携を強化する狙いがある。
LandingLens™は、複雑なプログラミングやAI専門知識を必要とせず、物体・パターン・欠陥などを認識するAIモデルを迅速に構築できるプラットフォーム。導入後は、システムインテグレーターやエンドユーザーが自らAIを再学習させることが可能で、用途の拡張性にも優れる。
ABBはすでに、ピッキング・仕分け・デパレタイズ・外観検査などの既存アプリケーションにLandingAIの技術を試験導入しており、今後の本格展開に向けた準備を進めている。
LandingAIのCEO、ダン・マロニー氏は「AIの進化は新たな可能性を生む一方で、継続的な学習と適応が求められます。ABBとの協業により、より多くの企業が実用的なインテリジェントロボットを手軽に導入・拡張できるようになります」と語る。
ABBは、AIトレーニングツールを自社ソフトウェアに完全統合して提供する唯一のロボットメーカーであり、同社のデジタルツイン機能を備えたシミュレーション・プログラミングツール「RobotStudio®」との併用により、導入の簡素化がさらに進む。
ABBロボティクスは、産業用ロボット、AMR(自律移動ロボット)、機械自動化ソリューションを網羅する統合ポートフォリオを有し、自動車・電子機器・物流など多様な業界において、柔軟性・効率性・持続可能性の向上を支援している。
今後、ABBとLandingAIの協業が、ロボットビジョンAIの民主化と多分野への展開を加速させることが期待される。