精工技研・住友重機械、環境配慮型加飾技術を共同開発

・型内塗装システム「SSIMC」、CO2削減と高意匠性を両立

・射出成形機向け新システム、2026年実用化へ

精工技研(千葉県松戸市)と住友重機械工業は9月17日、射出成形機の環境配慮型加飾技術「SSIMC」型内塗装システムを共同開発したと発表した。2026年のシステム販売開始および実用化を目指す。

新システムは、280t以下の成形機での中小型製品に特化したコンパクトな型内塗装システム。金型内で樹脂成形後、専用注入機から塗料を注入して成形品表面に塗膜を形成する仕組み。従来の塗装・乾燥工程を金型内で完結させることで、省電力化とCO2排出量削減を実現する。

■VOCフリー塗料で環境負荷を大幅低減

採用する塗料にはVOC(揮発性有機化合物)をほぼ含有せず、脱炭素社会の実現とVOC抑制に大きく寄与するという。さらに微細な模様や立体感のある質感表現にも優れ、高意匠性を兼ね備えた加飾技術として製品の外観価値向上が期待できる。

製品の主な特長は、型内塗装による工程削減でCO2排出量を低減する環境性能、金型転写性の向上による高精度な質感・立体感の表現力、自動車内外装部品、家電部品、化粧品容器などへの幅広い応用分野への対応などが挙げられる。

■ドイツ展示会でサンプル公開

開発における両社の役割分担では、精工技研が金型設計・製作と成形技術を担当し、住友重機械工業が射出成形機と制御システムを手がける。

「SSIMC」システムで製作したサンプルは、10月8日から15日にドイツ・デュッセルドルフで開催される国際プラスチック見本市「K2025-国際プラスチック・ゴム産業展」の住友重機械工業ブースで展示される予定。

精工技研は1972年創業以来、高精度・高品質な金型を市場に供給してきた。特に光ディスク金型ではナノメートルレベルの加工精度で世界トップブランドの地位を築いている。近年は金型技術と各種成形技術を組み合わせ、自動車や医療・バイオ分野向けに精密成形品供給を拡大している。

一方、住友重機械工業は1965年に射出成形機事業に参入。業界初のダイレクトドライブ搭載全電動機や統合アプリケーション「Zero-molding」など革新的技術開発を続け、精密・ハイサイクル成形を強みとしている。

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