レンタルのニッケン、テレマティクス活用サービスが公共工事で導入拡大

・建設機械のCO₂排出量を自動算定、現場DXと脱炭素化を同時実現

レンタルのニッケン(東京都港区)は9月16日、昨年10月にサービス開始した「CO₂排出量可視化サービス」が、公共土木工事を中心とした建設現場で本格的な導入拡大を見せていると発表した。同サービスは建設機械にテレマティクスセンサーを搭載し、従来手作業で行われていたCO₂排出量算定の自動化を実現。現場の環境対策強化と運用効率化を両立する新たなソリューションとして注目を集めている。

■テレマティクス技術でリアルタイム監視を実現

同サービスの核となるのは、建設機械に取り付けたテレマティクスセンサーによる稼働状況の自動検知システム。エンジンのON/OFF状態を10分間隔およびエンジン始動・停止のタイミングでデータ送信し、クラウド上で「稼働時間×機種別平均燃費×燃料CO₂排出係数」の計算式によりCO₂排出量を自動算定する。算定結果は専用ダッシュボードでリアルタイム可視化され、現場単位での環境負荷状況が一目で把握できる仕組みとなっている。

従来の建設現場では、CO₂排出量の把握は作業日報からの手作業集計が主流で、正確性と即時性に課題があった。同サービスの導入により、これらの課題が解決されるとともに、建設機械の位置情報や稼働状況もリアルタイム監視できるため、機械配置の最適化による運用効率向上も期待できる。

■多様な現場環境に対応、Wi-Fi通信も標準装備

同サービスの特徴として、建築・土木・電気・設備・プラント工事など幅広い工種への対応が挙げられる。汎用性の高い設計により、現場の特性を問わずスムーズな導入が可能。また、従来のLTE回線に加えてWi-Fi通信にも対応したことで、トンネル内や地下、山間部などLTEの電波状況が不安定な環境でも安定したデータ通信を確保できる。

さらに同社では、算定したCO₂排出量データを活用したカーボンオフセット支援も展開。企業の脱炭素経営を多角的にサポートする体制を整えている。

■機能拡充で更なる利便性向上を目指す

今後の展開として、同社では利用企業のニーズに応じたダッシュボードのカスタマイズ機能と、CO₂排出量の目標設定・アラート機能の追加を予定している。前者では表示項目やレイアウトの自由な変更が可能となり、後者では目標超過が見込まれる場合の早期アラート通知により、迅速な是正対応を支援する。

建設業界では2050年カーボンニュートラル実現に向けた取り組みが本格化する中、現場レベルでの環境負荷可視化と運用効率化を同時実現する同サービスは、業界のデジタルトランスフォーメーション推進の重要なツールとして位置づけられる。同社では今後も地方自治体や建設事業者との連携強化を図り、持続可能な建設業界の実現に向けたソリューション提供を加速させる方針。

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