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ABB、顧客要望に応えリングモーターの安全性を大幅向上

・ギアレスミルドライブ技術に新安全機能を追加、点検作業の効率化も実現

ABB :2025年9月9日

スペイン・ビルバオ発、スイスの産業技術大手ABBは9日、同社のギアレスミルドライブ(GMD)技術において、リングモーター室内に認定アンカーポイントとLED照明システムを新たに導入すると発表した。これらの安全機能は顧客からのフィードバックを受けて開発されたもので、高さ20メートル超の密閉空間での点検作業における安全性と作業効率の向上を図る。

■顧客ニーズに基づく開発プロジェクト

リングモーターは粉砕作業における重要コンポーネントだが、内部点検作業では従来から「最適な視界確保」と「効果的な転落防止システムの実装」という2つの課題があった。ABBはサービス専門技術者と現場作業員との協働により顧客フィードバックを分析し、リングモーター内部にアクセスする作業員の安全性と快適性向上を目指す開発プロジェクトを立ち上げた。

新たに統合されたGMDモーター照明システムは、モーターハウジング内の視認性を大幅に改善する。全ての内部作業エリアにわたって一貫した照明を提供し、影を排除することで点検作業の明確性と精度を向上させる。加えて、照明の改善により滑りや転倒のリスクを軽減し、より安全で効率的な点検プロセスに寄与する。

■国際安全基準に準拠したアンカーポイント

新開発のアンカーポイントは、内部ステーター周囲全体にわたって認定安全フックポイントとして設計されている。EN 795やOSHA 1926.502といった国際転落防止基準に準拠し、ABB GMD顧客の安全性向上をより効果的にサポートする。モーター照明も点検作業時の適切な作業場照明によるHSE(健康・安全・環境)側面の改善に貢献する。これらのアップグレードは、過酷な採掘環境でのGMD点検効率も向上させる。

■技術責任者のコメント

スペイン・ビルバオのABB GMDモーター工場でこの取り組みの技術責任者を務めるフレン・フェルナンデス氏は次のように述べている。「ABBは常に実際の顧客課題に耳を傾け、特に安全性に関わる問題に対処するためGMDを進化させています。顧客からの洞察とフィードバックにより、ステーターチャンバー内でより安全な転落防止ソリューションの必要性が特定されました。これを受けて厳格な安全基準を満たし、緊急時には作業員と潜在的な救助者の両方を支援する新ソリューションを開発しました」

■展開計画と市場反応

認定アンカーポイントは新規ABBリングモーターの標準機能となり、LED照明システムはオプションアップグレードとして提供される。両ソリューションとも既存GMDへの後付けが可能だ。新機能はABBのGMDポートフォリオ全体で展開されており、顧客サイトでの初期パイロット設置では、安全条件の改善と点検結果の向上の両面で高く評価されている。

■ABBについて

ABBは電化と自動化の世界的技術リーダーとして、より持続可能で資源効率的な未来を可能にしている。エンジニアリングとデジタル化の専門知識を結合することで、産業界の高性能運転を支援し、より効率的で生産性が高く持続可能な運営により優れた成果を実現している。同社では これを「Engineered to Outrun(卓越するための設計)」と呼んでいる。140年超の歴史を持ち、世界で約11万人の従業員を擁する。ABBの株式はSIXスイス証券取引所(ABBN)とナスダック・ストックホルム(ABB)に上場されている。

ABBのプロセスオートメーション事業は、エネルギー・水・原材料の供給から商品製造・市場輸送まで、幅広い重要ニーズに対応する産業運転の自動化・電化・デジタル化を手がける。約2万人の従業員と先進技術・サービス専門知識により、プロセス・ハイブリッド・海事産業の卓越した成果実現を支援している。

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