リープヘル・エーヒンゲン工場、新工業団地で54ヘクタールの大規模拡張プロジェクトが始動

・中国メーカーとの競争激化の中、ドイツ国内への投資継続を表明

リープヘル (Liebherr):2025年9月10日

建設機械大手のリープヘル・ヴェルク・エーヒンゲン(Liebherr-Werk Ehingen GmbH)は9月10日、エーヒンゲン・ベルク(Ehingen-Berg)工業団地において新工場の起工式を実施し、54ヘクタール(54万㎡)の敷地に顧客センターと物流施設の建設を開始したと発表した。6月の用地取得に続く今回の着工により、同社の生産プロセス最適化に向けた大型投資プロジェクトが本格始動する。

新工場は50万㎡以上の敷地面積を有し、1969年から稼働している既存のミュンジンガー通り (Münsinger Straße)工場(敷地面積100万㎡)を補完する役割を担う。この投資は同社の歴史における重要な節目であり、現在南ドイツで進行中の家族経営企業による最大規模の工業拡張プロジェクトとして注目されている。

■政財界からの強力な支援
起工式にはリープヘル社幹部のほか、バーデン・ヴュルテンベルク州議会CDU会派のマヌエル・ハーゲル議員、エーヒンゲン市のアレクサンダー・バウマン市長、アルプ・ドナウ郡のハイナー・シェフォルト郡長官ら政財界の要人が出席した。

ハーゲル議員は「現在の経済情勢下におけるリープヘル・エーヒンゲン工場の拡張は、バーデン・ヴュルテンベルク州の工業立地としての重要性を示す象徴的な出来事」と評価。テュービンゲン行政区のクラウス・タペザー地区長も「地域繁栄の維持という目標が達成された。リープヘルの立地への忠誠に深く感謝する」と述べた。

生産効率向上と中国競合への対抗
新工場建設の背景には、大型クレーンへの需要増加と生産プロセスの効率化ニーズがある。同社は既存工場からの工程移管により、増大する生産能力要求に対応する計画だ。第一段階では9月から造成工事が開始され、その後、現代的な顧客センターと物流施設の建設、従来賃借していた物流スペースの返却などが段階的に実施される。

特に注目すべきは、中国メーカーとの競争激化という厳しい経済環境の中でも、同社がエーヒンゲン拠点への長期的なコミットメントを再確認している点だ。アルプ・ドナウ郡最大の雇用主である同社(従業員数5,000名超)の商務担当ディレクター、ダニエル・ピッツァー氏は「従業員にとって、この拡張は過去の成功年月への評価の表れであり、将来の課題への準備でもある」と説明した。

■環境配慮型工場の実現
新工場では環境負荷軽減も重要な要素として位置づけられている。化石燃料の使用を避け、車両の電動化を可能な限り推進し、建物はKfW(ドイツ復興金融公庫)の最新基準に準拠して建設される予定だ。

■業績と今後の展望
2024年の実績として、リープヘル・エーヒンゲン工場はモバイルクレーンとクローラークレーン約2,000台を出荷し、売上高約32億ユーロを達成した。全世界で5万名超の従業員を擁するリープヘル・グループ全体では、2024年に140億ユーロ超の売上高を記録している。

今回の拡張プロジェクトは、グローバル競争が激化する建設機械業界において、ドイツの製造業が技術革新と生産効率向上により競争力を維持する取り組みの象徴的事例として、業界内外から注目を集めている。​​​​​​​​​​​​​​​​

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