・測量機器大手、上場廃止へ、80.32%の株式取得
測量機器・精密機器大手のトプコン(東証プライム:7732)は9月11日、TK(東京都千代田区)による株式公開買付け(TOB)が成立したと発表した。応募株式数は8,474万8,472株(所有割合80.32%)となり、買付予定数の下限を上回った。これによりトプコンは新たな親会社体制の下で経営再建を図ることになる。
■MBOによる株式の8割超取得が完了
今回の公開買付けは、マネジメント・バイアウト(MBO)の一環として実施されたもので、7月29日から9月10日まで31営業日間にわたって行われた。買付価格は普通株式1株当たり3,300円に設定された。
公開買付者のTKは、米投資ファンドKKRと政府系ファンドのJICキャピタルが出資する買収目的会社。今回のTOBにより、トプコンの議決権ベースで80.32%の株式を取得することとなった。
■二段階買収で完全子会社化を目指す
TKは今後、いわゆる二段階買収の手続きを進め、トプコンを完全子会社化する方針を示している。この手続きが実施されれば、トプコン株式は東京証券取引所の上場廃止基準に従って上場廃止となる予定。
同社では既に8月28日付で臨時株主総会招集のための基準日設定を公表しており、完全子会社化に向けた手続きを着実に進めている。
■主要株主の顔ぶれが一変
今回のMBO実施に伴い、トプコンの株主構成は大幅に変更される。これまで主要株主だった米投資ファンドのValueAct Capital Management, L.P.(VAC)は保有株式の全てを売却し、主要株主から外れることとなった。
一方、TKとその親会社であるTKホールディングスが新たに親会社として位置づけられる。TKホールディングスの最終的な出資者は、KKRとJICキャピタルが組成したTK Investment L.P.となっている。
■建設機械・測量機器業界の再編が加速
トプコンは測量機器、建設機械用システム、眼科医療機器などを手がける精密機器メーカー。近年は建設現場のICT化やスマートコンストラクションの分野で存在感を示していたが、グローバル競争の激化や技術革新への対応が課題となっていた。
今回のMBOにより、上場企業としての制約から解放されることで、中長期的な視点での投資や事業再構築が可能になると期待される。KKRの豊富な投資経験とJICキャピタルの産業界でのネットワークを活用し、デジタル技術を軸とした事業強化を図る見込み。
建設機械・測量機器業界では、コマツやタダノなど国内大手各社も海外展開やデジタル化投資を加速させており、業界再編の動きが注目されている。
<株式会社トプコン概要>
- 本社:東京都板橋区
- 設立:1932年
- 主力事業:測量機器、建設機械用システム、眼科医療機器
- 従業員数:約5,000名(連結)
- 2025年3月期売上高:約1,500億円(予定)