・25年上期の米国向け輸出は約40%減少
英国建設機械協会(CEA:Construction Equipment Association):2025年8月27日
英国建設機械協会(CEA)は8月27日、米国が8月18日から適用開始した新たな通商拡大法232条に基づく関税措置について声明を発表した。完成建設機械および主要部品が課税対象となり、英国製品の輸出に深刻な影響を及ぼす可能性があると警告している。
新措置では、英国原産の機械は鋼材・アルミ含有分に対して25%の関税が課される。一方、多くの非英国メーカーは50%の関税率に直面している。しかし、輸入時に金属含有量を証明できない場合、米国税関は機械全体の価格に基づき課税を行うため、過大な負担や罰則につながるリスクがあるという。
今回の関税は完成機械だけでなく、バケット、ブレード、ミキサー部品など重要な補修・交換部品にも適用範囲が拡大された。これにより、製品供給のみならずアフターマーケットまで広範な影響が懸念される。
数千点に及ぶ部品で構成される複雑な機械の場合、各部材の素材内訳を把握するのは実務的に困難であり、業界分析では英国主要輸出企業が年間数億ポンド規模の追加コストを負担する可能性があると試算している。
米国は英国建機業界にとって重要な輸出市場であり、2023年には15億ポンド超(約3,000億円、200円換算)の規模を誇った。しかし2025年上期の輸出額は前年同期比で約40%減少しており、今回の新関税導入でさらなる落ち込みが予想される。
CEAはすでに英国ビジネス・通商省と緊急協議に入っており、製造業団体Make UKなどと連携して政府に業界の危機感を訴えている。具体的には、実務に即した遵守ルートの確立や適用除外措置の検討を求め、追加コストと混乱を最小化することを目指している。
CEAのビキ・ベル(Viki Bell )最高経営責任者(CEO)は「産業界の声を集め、政府に明確で強い証拠を提示することが重要だ。会員企業には、関税が具体的にどの製品・部品・サプライチェーンで問題を引き起こしているのか事例を寄せてほしい」と呼びかけている。