東洋エンジニアリングと米GFE社が地熱技術で提携

・同軸二重管方式クローズドループ技術をアジア太平洋で展開

東洋エンジニアリング(TOYO)は9月9日、米国の地熱開発事業者であるGreenFire Energy Inc.(GFE社)と、先進地熱システム(AGS)の共同展開に関する協業契約を締結したと発表した。

■従来型と異なるクローズドループ方式
協業の対象となるのは、GFE社が開発した同軸二重管方式のクローズドループ技術。従来の地熱発電では地下水、地熱貯留層、熱源の三要素が必要とされるが、同技術では熱源が確保できれば、地下水や地熱貯留層がない場所でも適用が可能とされる。

システムは、地上から注入した水を地下の二重管外側を通して送り、内側を通って地上に戻る構造。この循環過程で地下から回収した熱を利用して発電する。

■役割分担と展開計画
協業では、GFE社が地下モデルの作成とクローズドループ技術を提供し、TOYOが設計・調達・建設およびデジタル最適化サービスを担当する。

当面は日本とインドネシアで実証試験の候補地特定を進める予定。将来的には北米での地熱開発事業展開も視野に入れている。

■両社の概要
TOYOは1961年創立の総合エンジニアリング会社で、世界60ヶ国以上でエンジニアリングサービスとプラント建設を手がけている。化学肥料分野を起点に石油化学、石油・ガス処理、資源開発、発電など事業領域を拡大している。

GFE社は2014年にオクラホマ州で設立された地熱開発業者。データセンター、防衛、製造業向けのグリーン電力開発に注力しており、2030年までに150MWの地熱容量開発、2040年までにトップ5の地熱生産者入りを目標に掲げている。

地熱発電は天候や時間帯に左右されない特性を持つため、再生可能エネルギーの安定供給において重要な位置づけとされている。今回の技術により、従来は開発が困難とされていた地域での地熱利用の可能性が広がるかどうかが注目される。

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