欧州建設機械委員会 (CECE)、米国の追加関税拡大に強い懸念、欧州建機輸出28億ユーロに打撃の恐れ

欧州建設機械委員会(CECE:Committee for European Construction Equipment)

欧州建設機械委員会(CECE)は9月8日、米国政府が通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミ製品への関税を拡大し、建設機械や鉱山機械を含む約400品目の関税コードを新たに対象としたことに強い懸念を表明した。

今回の措置では、機械の鉄鋼部分の価値に対して50%、その他部分に一律15%の関税が課される仕組みとなる。実質的な関税率は15%から最大50%近くに達する可能性があり、欧米間の建機貿易に深刻な影響を与えるとみられる。

CECEによれば、2024年にEUから米国への建設機械輸出額は34億9,000万ユーロ(約6,000億円)で、EU域外輸出全体の27%を占めた。このうち約80%にあたる28億ユーロ相当(約4,800億円)が新関税の対象となり、域内メーカーに大きな打撃を及ぼす恐れがある。(1ユーロは約172円換算)

CECEのリカルド・ヴィアッジの(Riccardo Viaggi)事務局長は「欧州委員会が米国政府と緊急に交渉し、建設機械輸出を232条関税の適用範囲から除外するよう求める。我々は必要な支援を惜しまない」と訴えた。

さらに米国政府は、関税対象コードのリストを4カ月ごとに見直す方針を示しており、市場予測は一層難しくなる。機械の鉄鋼・アルミ含有量を算定する手続きはメーカーと米国税関双方にとって大きな負担となり、誤算による法的リスクも増大すると指摘されている。

CECEは、今回の措置がコスト増大、事務負担の拡大、取引安定性の低下を招き、建設業界全体の先行きに深刻な不安を与えると警告する。米国建設業界は欧州製の高性能建機に大きく依存しており、関税導入によって輸入品だけでなく米国製機械の価格も上昇する可能性がある。景気減速局面にある同国の建設業にさらなる逆風となるのは避けられない情勢である。

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