・非ユーロ圏からの大型案件が牽引、国内投資の低迷続く
ドイツ機械工業連盟(VDMA) :2025年9月3日
ドイツ機械工業連盟(VDMA)が発表した7月の受注統計によると、ドイツの機械・プラントエンジニアリング業界の受注額は前年同月比実質4%増となり、わずかながら改善を示した。しかし、業界関係者は「これは本格的な回復トレンドではない」と慎重な見方を示している。
■非ユーロ圏が成長を牽引
受注増加の要因は、非ユーロ圏諸国からの注文が10%増と大幅に伸びたことにある。この結果、海外受注全体では7%の増加を記録した。一方で、国内需要とユーロ圏パートナー国からの受注は前年水準にとどまり、地域間での格差が鮮明となった。
VDMA主席エコノミストのヨハネス・ゲルナント(Johannes Gernandt)博士は「非ユーロ圏との取引は大型プラント案件の受注によって押し上げられた面もある。加えて昨年7月が比較的低水準だったことも影響している」と分析している。
■年間通しては成長鈍化
1月から7月までの累計では受注が2%増にとどまっており、「全体的な勢いは依然として控えめ」(ゲルナント博士)な状況が続いている。
変動の少ない3カ月移動平均(5-7月)で見ると、全体では実質2%増を記録。内訳では国内受注が1%減となる一方、海外受注は3%増となった。地域別では、ユーロ圏からの受注が14%増と大幅に伸びたが、非ユーロ圏は1%減となっている。
■政策不透明感が投資を阻害
ゲルナント博士は受注回復の鈍さについて「ドナルド・トランプ米大統領の攻撃的な関税政策による不安が影響している」と指摘。さらに「ドイツと欧州における構造改革の遅れが継続的に投資を阻害している」と述べ、政府の早急な対応を求めた。
「企業向けの負担軽減策が秋には実現されなければならない。特に連邦政府は約束を果たす必要がある」と、ゲルナント博士は政策当局への働きかけを強めている。
ドイツ機械エンジニアリング業界では、海外、特に非ユーロ圏での需要回復の兆しは見られるものの、国内投資の本格回復と政策環境の改善が業界全体の持続的成長に不可欠との認識が広がっている。
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