伊ライモンディ、米テレックスの主要クレーン事業を買収、業界20年最大規模のM&A

ライモンディ・クレーン (Raimondi Cranes):2025年9月2日

イタリアの老舗タワークレーンメーカーであるライモンディ・クレーン(Raimondi Cranes、本拠:イタリア、アラダ・グループ傘下)は、米国テレックス社(Terex Corporation)からタワークレーン事業、自走式セルフエレクティングクレーン事業、ラフテレーンクレーン事業、さらに米国ノースカロライナ州のアフターサービス拠点を取得することで最終合意に達したと発表した。取引完了は2025年第3四半期を予定している。

■ 製品レンジの拡大と世界展開強化

今回の買収により、ライモンディは既存のタワークレーンやジブ付きクレーンに加え、セルフエレクティング型およびラフテレーンクレーンまで取り扱う総合メーカーへと進化する。従業員約250名がライモンディに移籍し、買収後のグループ従業員数は約400名規模となる。

さらに、テレックスが持つ北米サービス網を活用することで、同社が重点市場としてきた欧州・中東に加え、世界最大規模の建設市場である北米への本格進出を加速させる狙いだ。

■ CEO「業界20年来最大の取引」

ライモンディ・グループCEOのルイジ・マッジョーニ氏は、「本件は当社史上最大の買収であり、過去20年で業界に最も大きな影響を与える取引だ」とコメント。さらに「テレックスの技術・製品群を取り込むことで、事業の多角化とシナジー創出を実現し、持続的かつ加速的な成長を目指す」と述べた。

今回の取引には、イタリアのフォンタナフレッダ工場(タワークレーン・セルフエレクティングクレーン)、クレスペッラーノ工場(ラフテレーンクレーン)、米国ウィルミントンのサービス拠点が含まれる。

■ テレックスからのコメント
一方、テレックス社CEOのサイモン・ミースター氏は、「ライモンディは革新性と顧客志向で高く評価されているメーカーであり、当社のタワークレーンおよびラフテレーンクレーン事業はイタリアを拠点とする専門メーカー傘下となることでさらなる発展が期待できる」と述べた。

また移行期間中のサービス提供についても「お客様への支援に途切れが生じないよう、ライモンディと緊密に連携し、透明性と敬意をもって移行を進める」と強調した。

■ 今後の見通し
ライモンディは今回の買収効果により、2028年までに世界全体で年商5億ドル規模を目指す。製造能力や調達・製品群の最適化を進めることで、規模の経済を追求し、グローバルな建設機械業界における地位の強化を図るとしている。

建設用クレーンの専業メーカーによる大型再編として注目される本件は、グローバルな重機業界勢力図を大きく塗り替える可能性が高い。

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