スター精密、最大加工径32mm対応のスイス型自動旋盤「SP-32」を発表

・多様化する部品加工ニーズに応えるSPシリーズの新たな主力機

スター精密は9月3日、スイス型自動旋盤「SPシリーズ」の新製品として、最大加工径32mmに対応する「SP-32」の販売を2025年12月より国内外で順次開始すると発表した。

2023年に登場した「SP-20」は、自動車、産業用装置、ITインフラ関連機器など多岐にわたる業種で高い評価を得ており、今回の「SP-32」はその基本構成を踏襲しつつ、加工能力を拡張。より大型のワークに対応可能となったことで、油圧・空圧機器や一般機械分野など、さらなる市場拡大が期待される。

■操作性と加工性能を両立した設計

「SP-32」は、門型刃物台を中心に構成された正面加工ユニットを搭載。手前側には6本型の旋削バイトホルダー(□16mm)、奥側には6軸型クロスドリルユニットを装備。特にクロスドリルユニットのうち4箇所はカートリッジ式ポジションとなっており、加工部品の形状に応じた工具ユニットの柔軟な交換が可能。

さらに、上部には大径穴あけに対応する2箇所を含む5軸型スリーブホルダーを配置。穴あけ加工の用途にも幅広く対応する構成となっている。

背面加工専用刃物台は、4軸型または5軸型ユニットの選択が可能で、いずれも工具回転駆動装置を標準搭載。最大4箇所に回転工具ユニットを装着でき、正面・背面の同時加工による工程分割でサイクルタイムの短縮を実現する。

■加工精度と拡張性を追求

高精度加工を支える機能として、機体各部に配置された温度センサーによる熱変位補正機能や、オイルミスト冷却によるギアボックスの発熱抑制、メイン・サブスピンドルへのビルトインセンサー搭載による割り出し精度向上などが挙げられる。

また、ガイドブッシュ/ノンガイドブッシュ切り換え機構を搭載。長尺部品にはガイドブッシュ仕様で高精度加工を、短尺部品にはノンガイドブッシュ仕様で残材削減と材料コスト低減を図るなど、加工対象に応じた柔軟な対応が可能だ。

■オペレーター支援機能も充実

NC装置には、経験の浅いオペレーターでも簡単にプログラム作成が可能な「EASY EDIT」(オプション)を搭載。さらに、プログラムデータの一括入出力機能など、日常作業を支援する機能も充実している。

切削室には跳ね上げ式ドアを採用し、広い開口部により段取り替えやメンテナンス時の作業性を向上。現場での操作性にも配慮した設計となっている。

<主な仕様>
項目/仕様
最大加工径 φ32mm
主軸台最大ストローク ガイドブッシュ仕様:310mmノンガイドブッシュ仕様:材料径×2.5(最大80mm)
正面主軸 最高回転数:7,000min⁻¹/モーター出力:5.5kW/7.5kW
背面主軸 最高回転数:7,000min⁻¹/モーター出力:2.2kW/3.7kW
クロス回転工具 最高回転数:5,000min⁻¹/モーター出力:2.0kW
背面回転工具 最高回転数:6,000min⁻¹/モーター出力:0.75kW
機械寸法 幅2,570mm × 奥行1,275mm × 高さ1,850mm

スター精密は、SP-32の投入により、精密部品加工の現場における生産性と柔軟性のさらなる向上を目指す。多品種少量生産や複雑形状部品の加工ニーズが高まる中、同社の技術力と製品開発力が今後も注目される。

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