・鉄鋼・アルミ派生品への50%追加関税が8月から適用開始
経済産業省は9月1日、第7回米国関税対策本部を開催、関連資料として、「米国関税措置の影響と対応」(PDFファイル)を公開した。そのうち、建設機械関連の内容を拾ってみると、同業界は米国の関税措置により大きな影響を受けており、各社は対応に追われている状況が明らかになっている。
■相互関税15%に加え、派生品に50%の追加関税
今回の米国関税措置では、建設機械本体に対して相互関税15%が課せられているが、さらに深刻なのは8月18日から適用された通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミニウム派生品への50%追加関税である。
米国商務省は8月15日、約400品目の派生品を新たに対象に追加。建設機械や農業機械をはじめとする幅広い範囲の製品について、鉄鋼含有部分やアルミ含有部分の価格に対して50%の追加関税を賦課することを発表した。
■コマツは営業利益に908億円の打撃を想定
主要建機メーカーの業績見通しを見ると、コマツは2025年度の純利益見通しを前年度実績4,396億円から3,090億円へと大幅に下方修正。セグメント利益への影響は合計908億円と想定している。内訳は需要減による影響158億円、コスト増による影響750億円となっている。
■業界が直面する3つの課題
関連事業者へのヒアリング結果によると、建設機械業界は以下の課題に直面している:
- 計算方法の不透明性
追加関税50%の対象となる品目が多数追加されたことに加え、鉄鋼・アルミ含有部分の価値の計算方法が不明瞭であることから、各社とも追加的な影響の把握に時間を要している状況。 - 需要減少への懸念
価格改定に伴う製品価格の上昇によって、需要が落ち込むことを懸念する声が業界内で高まっている。 - 価格競争力の低下
鉄鋼含有分の価値を適切に示せない場合、製品価格全体に追加関税50%がかかり、価格競争力に大きな影響が出る可能性がある。
■業界の対応状況
報告書によると、現在、建設機械業界各社は関税影響への対応策を検討中だが、鉄鋼・アルミ含有部分の価値計算方法が不明瞭なため、具体的な対応策の決定には時間を要している状況。
関税影響への基本的な対応方針として、各社は価格改定による転嫁を検討しているが、製品価格上昇による需要減少も懸念されており、慎重な判断が求められているとしている。
関連資料:「米国の日本からの輸入品目と追加関税賦課状況」(2025年8月4日)