川崎臨海部で国内初の高圧水素パイプライン計画が始動、JSEとJFEエンジ、FEED契約締結

・カーボンニュートラル社会実現へ一歩前進

川崎臨海部における大規模水素インフラ整備事業が新たな段階を迎えた。日本水素エネルギー(JSE、東京都港区)とJFEエンジニアリング(東京都千代田区)が、9月2日、同地区での水素パイプライン基本設計(FEED)契約を締結したと発表した。

■NEDOのGI基金事業の一環として実施

本契約は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業「大規模水素サプライチェーンの構築」の重要な構成要素として位置づけられる。川崎臨海部扇島に建設予定のJSEの川崎LH₂ターミナルへ、国内製造水素を供給するパイプラインの基本設計をJFEエンジニアリングが担当する。

■社会実装フェーズでの重要インフラに発展

FEED業務を経て建設されるパイプラインは、GI実証事業完了後の商用運転段階では、海外から受け入れた液化水素を気化し、川崎臨海部の産業需要家へ供給する基幹インフラとして機能する計画だ。供給される水素は需要家側で電気や蒸気への変換利用が想定されており、同地区の脱炭素化に直接寄与する。

■国内初の高圧水素パイプライン設計に着手

JFEエンジニアリングは、これまでのパイプライン建設における豊富な実績と最先端技術を活用し、水素大量輸送を目的とした国内初の高圧水素パイプラインを設計する。同社のEPC(設計・調達・建設)事業での知見が、この革新的なインフラ構築に活かされる見込みだ。

■川崎臨海部からカーボンニュートラル社会実現へ

両社は今回の設計業務、さらには後続の建設工事を通じて、川崎臨海部を起点とした日本のカーボンニュートラル社会実現に貢献していく方針を示している。重工業の集積地である川崎臨海部での水素利用拡大は、産業界全体の脱炭素化に大きなインパクトを与えると期待される。

■プロジェクトの技術的意義

FEED(Front End Engineering Design)は、事業の投資判断に必要な技術課題の洗い出しや概算コスト算出を行う重要な設計段階である。特に水素パイプラインという新しい分野では、安全性確保と経済性の両立が求められ、今回の基本設計がその後の社会実装の成否を左右する。

川崎臨海部での水素インフラ整備は、日本の水素社会実現に向けた試金石となるプロジェクトとして、業界内外から注目を集めている。

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