・山岳トンネル施工の「A4CSEL for Tunnel」、安全性と生産性向上へ
鹿島建設は9月1日、山岳トンネル自動化施工システム「A4CSEL for Tunnel(クワッドアクセル・フォー・トンネル)」の最新機種であるエレクタ付き2ノズル自動吹付け機を、横浜高速鉄道発注の「みなとみらい21線車両留置場建設工事(土木工事)」に導入し、実施工を開始したと発表した。実工事での本格稼働は今回が初となる。
本機は、吹付け作業と支保工建込みを自動化・遠隔化した点に特徴がある。従来、切羽近傍で作業員が複数人関与していた工程を、オペレータ1名による2ノズル吹付けと遠隔支保工建込みに置き換え、安全性の飛躍的な向上と生産性向上の両立を可能にした。特に、肌落ち災害リスクを大幅に低減しつつ、省人化施工を実現した点が注目される。
■多様な断面形状に対応、施工前シミュレーションも可能
自動吹付けシステムは、3Dレーザスキャナで切羽を計測し、そのデータから吹付け計画を自動生成する仕組み。従来の円形断面だけでなく、馬蹄形や扁平断面など幅広いトンネル形状に対応可能となった。
さらに、作業を3D座標空間で再現する専用シミュレータを活用することで、施工前に動作検証を実施でき、施工後には実績データを分析するPDCAサイクルを確立。施工精度の高度化と効率化を後押しする。
■建込みガイダンスと専用支保工で省力化
支保工の建込みについては、建込みガイダンスシステムを新たに導入。設計位置に応じてエレクタブームの各リンク角度や伸縮量を自動計算し、精度高く建込みを行う。加えて、ワンタッチジョイントや専用アンカーを備えた支保工を組み合わせることで、従来5~6名を要した作業を、オペレータ1名にまで削減した。
■今後の展望
鹿島は2024年、穿孔から発破、ずり出し、吹付け、ロックボルトまでトンネル掘削6工程全ての自動化・遠隔化に成功しており、今回の導入はその実工用展開の一環。今後は他の山岳トンネル現場への展開を進める構えだ。
<工事概要>
• 工事名:みなとみらい21線車両留置場建設工事(土木工事)
• 発注者:横浜高速鉄道株式会社
• 場所:神奈川県横浜市中区元町一丁目~新山下二丁目
• 諸元:横坑(換気坑)=306m、単線トンネル=228m×2本、複線トンネル=99m、併設トンネル=262m×2本
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